内容説明
新たな秩序を築くも志半ばで暗殺された道潅、予期せぬ挫折で戦乱に身を投じた景春。両雄の対照的な生き様と戦いの軌跡を最新の研究成果で浮き彫りにする!
目次
第1章 太田道潅の登場
第2章 太田道潅と長尾忠景の台頭
第3章 長尾景春の乱への序曲
第4章 長尾景春の乱の展開
第5章 都鄙和睦の成立から太田道潅誅殺へ
第6章 長享の乱・永正の乱と長尾伊玄(景春)
著者等紹介
黒田基樹[クロダモトキ]
1965年生まれ。早稲田大学教育学部卒。駒澤大学大学院博士後期課程満期退学。博士(日本文学)。現在、駿河台大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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サケ太
22
室町時代から、戦国時代の流れの境目にいた太田道灌と長尾景春。主家を支える事のみを考えていた太田道灌。己の、配下の権益を守るために立ち上がらざるおえなかった長尾景春。戦国大名化を果す為の魁となった二人の男。太田道灌は其れ故主に討たれて、長尾景春は其れ故に抗い続けて。伊勢宗瑞や長尾景為との関係性。『戦巧者』と扱われる事に成った長尾景春。抗い続けたその生涯は凄まじい。戦国時代の黎明期とも言える扉を開いた男。これは凄く面白かった。2019/12/30
六点
11
太田道灌といえば、戦国時代の嚆矢となった享徳の乱で、扇谷上杉氏の家宰として活躍し、主君に暗殺されるという悲劇的な最後で有名である。が、伝承や二次・三次史料に頼らずに同時代史料に乏しい太田道灌の評伝を書き上げた、緻密な史料の読み込みに感動を覚える。情報量が多く、また、多数の親族が登場するため、とても読むのに知的持久力を要求される本である。特にこの二人の事績に関しては通り一遍の知識しかなく、もう少し、同著者の本を読み、再挑戦してみたい。読み手であるぬこ田の力不足が露呈してしまった。勉強してきます(´・ω・`)2020/02/29
MUNEKAZ
10
道灌と景春、まさに鏡写しの二人を中心に、戦国前期の関東を描く。ともに家宰を務める家に生まれ、家職に伴う諸権益の集約が原因で、一方は主君に討たれ、一方は反乱を起こす。そしてそれは同時に「関東管領ー鎌倉公方」体制の解体に結びつき、伊勢宗瑞の台頭にも繋がっていく。鎌倉府から後北条氏の支配へと至る関東戦国史のミッシングリンクが繋がる内容で面白い。「悲劇の名将」と語り継がれ多くの逸話を持つ道灌だけでなく、生涯をかけてアンチ上杉顕定を貫いた長尾景春という強烈な個性を手軽に読めるのがうれしい。2020/06/21
青雲空
8
戦国初期の東国で活躍した太田道灌と長尾景春。現時点で入手できる最新の評伝と言える。 道潅の事績の豊富さに驚くが、それ以上に景春の執念には鬼気迫るものがある。40年近く戦乱に身を置き2度の主家裏切りを企てた景春はまさに鬼神。強い酒に中てられたような読後感に浸っている。 そして、本書を送り出した著者の黒田基樹氏と版元伊藤光祥氏も、中世東国史に執念を燃やす「武将」のようなお二人である。2024/05/16
娑婆乃呼吸
7
千葉市郷土博物館で「享徳の乱と千葉氏」企画展が開催され、それに伴う講義を聴講した際に我らが戎光祥出版さんの出店ブースにて購入。 太田道灌関連の史料って全然残ってないことを初めて知りました。実績的には申し分ない、でもそのやり方は容赦無い印象。最後は謀殺されてしまうのも変に頷けるのかも。 そして、山内上杉氏家宰になれず叛乱を起こした長尾景春。目的を果たせなかったとはいえ、生涯戦い続けたそのエネルギーを感じました。2024/02/24