内容説明
戦国大名の水軍として、江戸湾の制海権をめぐって激戦を繰り広げた海賊たち。謎多き海の覇者たちの、意外な素顔とは!?
目次
第1部 戦場となった江戸湾(江戸湾を股にかける海上勢力;海賊で構成された北条水軍;北条水軍のライバル・里見水軍)
第2部 江戸湾の平和維持(海上の「平和」のために;江戸湾と海賊をめぐる伝承)
著者等紹介
真鍋淳哉[マナベジュンヤ]
1969年、神奈川県生まれ。青山学院大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程修了。博士(歴史学)。青山学院大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鯖
12
北条が梶原氏の末裔を自称する紀伊の海賊を傭兵としてやとっていたのが面白かった。梶原さんが海賊になんのかあ…。石田三成が海賊になる的なアレさがあるわ。北条と海上覇権を争っていた里見水軍の刺股などの船で使う武具の絵図や氏政が出した「向地の房総の村に凪の日は渡って、あんまし立派でない家まで焼き払っちゃえよ」というおふれとか、二大勢力の間で、双方に年貢を納める「半手」の二重収奪に耐え必死に生きる民の姿とか、ひええ…となるものがたくさん。全体的にはちょっと内容が散漫な印象でした。2019/01/20
MUNEKAZ
10
水軍や海賊衆というと瀬戸内や九州といった西国がメインに思えるが、これは江戸湾の海賊を扱った一冊。両岸を北条家と里見家という因縁のライバルが占めるだけあって、海賊行為が頻発しカジュアルに村が焼かれる惨状と、その中で生き残りを図る百姓たちの営みが描かれている。武田家が志摩から海賊衆を招聘したのに対し、北条家は紀伊から傭兵を招いており、やはり「本場」から助っ人を呼ぶのが戦力向上への近道なのは変わりなしというところ。ついでに小田原征伐後は、あっさり北条家から退出して紀伊に戻っており、さもありなんという感じ。2019/12/11
BIN
9
東京湾こと江戸湾を挟んだ北条水軍と里見水軍のことを記載した本。北条水軍が紀伊からの傭兵(海賊だが)である梶原(景時の末裔)と三浦水軍の山本氏というのは初めて知った。凪だったらとりあえず対岸の村焼いとけとか戦時中?とはいえかなり物騒で民がかわいそすぎる。いつも思うが、カラーの資料が多く載っていて良いのだが、微妙にしか関係ない人物の肖像(今回でいうと上杉謙信)とかは必要だろうか。2019/09/05
金監禾重
6
本書が詳述する江戸湾は、防御施設を設けられない侵攻路であった。敵地の村を襲って立派でない家も焼け、という生々しい指示書が伝わる。村が両勢力に年貢を納める「半手」が有名だが、字面とは異なり年貢を半分ずつ納めればよかったとは限らないようで、村の減免申請を断った事例も掲載されている。襲撃されて無制限に奪われるよりはマシ、という程度のようだ。両勢力とも、積極的に敵地側に半手の村を増やし、自勢力の収入を増し、敵勢力の収入を削るだけでなく、敵地側の情報も入手しやすくした。2022/07/28
Abercrombie
4
テーマを絞った割には薄く、まとまりのない内容に思えた。サブタイトルから想起されるような華々しい記述も一切ないし。凪の日にはこまめに船を出して対岸の村を焼いとけとか、北条氏が滅びた途端、紀州に帰っちゃう海賊傭兵とか、江戸湾を股にかけてしたたかに商売する流通商人とか、個々のエピソードは面白いものがあるんだけど。2025/01/22