感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Teo
4
一緒に買った三条実美の本と一緒に何気なく買った。九条兼実が何時の人物か知らないで買った。読み始めてすぐ分かったが玉葉の著者だった。そうか、そうだったか。そして本書はその玉葉の著者の歴史を眺めながら平安期から鎌倉期への変遷を見返す。私としては五摂家が成立する流れが今回ではっきりしたのが良かった。道長の御堂流がいつの間にか五摂家になっているのを今迄は何だか知らないがそうなってしまったのだなとしか思っていなかったので。2018/01/31
キングトータス
2
著者の言う通り源平合戦を貴族側から見たことは無かったので新鮮だった。清盛は武士としての側面が強調されがちだがやはり貴族でもあると改めて感じた。平家は朝廷に近付いて堕落…と言う単純な話はなりたたない。基実の死後家産を平家が横領した話、基実周辺が弟基房の家系に渡さない様望んだ意味もあると言う見方は特に勉強になった。兼実もかなりの苦労人だが、無能なイメージだったライバルの基道も父を早く無くしたのに頑張っていたんだな…と知り反省しました。2022/01/21
ikeikeikea
2
玉葉の作者である九条兼実の生涯を描いた一冊。保元、平治の乱、源平合戦の時代を生きた人物であるだけに面白くないわけがない。平清盛、後白河法皇によって翻弄される摂関家について描かれているので、中公新書『藤原氏』の続編として読んでも面白いかもしれない。何よりも面白いのは魅力的な人物が多く登場することだ。前述の二人に加えて、後白河と男色関係になる事によって摂政の地位を保持した近衛基通、そして皮肉屋ながら情に厚い九条兼実がとても魅力的である。山川出版の教科書では兼実が法然の信者としてしか記述されてないらしくて悲しい2018/02/10
perplex9
1
鹿ヶ谷謀議の新解釈など、摂関家から見た当時の歴史が新鮮。それにしても後白河法皇が日に日に間抜けに再解釈されるのがちょっと哀れ。2018/01/30
お抹茶
0
激動の時代において親戚の政争に巻き込まれながら,天皇,平氏,源氏から一定の信頼を置かれつつも,政治家としてはいまひとつやりたいことをやれなかった感じを受ける。兼実の父・忠通は異母弟・頼長に奪われた権力を鳥羽院の死去を機に奪還しようとして保元の乱が起こり,武士の力が重視される「パンドラの箱」が開いた。父,兄弟,叔父,甥,清盛,頼朝,後白河院などに振り回されても,三男で「摂関家の後継者」とみなされなかったが,生き延びたポイントか。『玉葉』そのものよりは兼実の人生とその前後の時代をわかりやすくまとめた本。2023/12/29