内容説明
戦国乱世を最も象徴する男!信長に実力を認められ、織田政権の西国政策を担うなど、異例の立身出世を遂げた陰で起こした、突如の謀叛。長きにわたる籠城戦の果てに、村重が描いた未来とは!?武勲・生涯・人となり、荒木村重の実像に迫る。
目次
口絵 荒木村重と有岡城
第1部 信長の重臣に成り上がる(池田氏の有力家臣として勢力を伸ばす;信長の重臣となる)
第2部 信長から離反し挙兵する(有岡城の戦い;尼崎城・花熊城の戦い;道薫として生きる)
著者等紹介
天野忠幸[アマノタダユキ]
1976年、兵庫県神戸市生まれ。2007年、大阪市立大学大学院文学研究科後期博士課程修了。博士(文学)。現在、天理大学文学部歴史文化学科准教授。著書、編著、共編著、共同監修がある。著書に『増補版 戦国期三好政権の研究』(清文堂出版)等(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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蔦屋重三郎そっくりおじさん・寺
82
表紙は饅頭をくわえる荒木村重。チャーミングだ。山田芳裕の漫画『へうげもの』の1巻で一族郎党を見棄てて名物茶器と逃げる人物として登場するのを御記憶の方も多いだろう。しかし一読驚嘆、天晴れな武将である。荒木村重をすっかり好きになってしまう。信長軍団(後に離反したが)では実に優秀な存在であり、名のある茶人であり、家来領民のみならず捕虜にも優しい(黒田官兵衛はどうやら感謝している)。村重の為に毛利や本願寺、雑賀衆から武田勝頼までが尽力する姿は感動すらした。おまけに息子は元祖浮世絵・岩佐又兵衛である。人気UP希望。2018/05/20
Koichiro Minematsu
50
黒牢城を読んだのを機に本書で荒木村重の人となりを知りたくて読んだ。 有岡城で長らく籠城できたのは、そこに摂津守として生きる強い意志があったからこそであり、天下が泰平に向かおうとする戦国の世にあって武将の価値観を変えたのは荒木村重であると言える。歴史は人を知ることができる教訓です。2022/08/02
金吾
26
荒木村重は評価が分かれる武将だと感じています。私はあまり好きな武将だと思っていませんが、有岡城を見捨てたことへの評価はこの本の見方が正しいように感じました。三木城の話は知らない話であり驚きました。2022/09/10
aloha0307
19
摂津の大大名だったのに、信長に反逆。自らの命を惜しみ妻子、家臣を見捨てて逃走した...荒木村重ほどマイナスイメージにまみれた大名はいないだろう。本書を読み終えて、村重は秀吉の政治的策略に、してやられてしまったこと。義昭に対して信長の優位性がその時はまだ確立していなかったことがよくわかった。農民に対して 支配者 として相対した信長に対して、村重は兵站を重視し、農民の支持は絶大だった。本願寺の協力があと少しあったら、歴史は変わっていたろうな。2017/07/15
MUNEKAZ
13
荒木村重のコンパクトな評伝。とにかく後世の評判が悪い村重の再評価を促す内容で、いろいろと見方が変わった一冊。能力も野心も十分にあり、時流に乗って下克上を果たすも、上からの理不尽に耐えかねて謀反に至る流れは、なかなか同情を誘われるもの。他にも後年自らを恥じて「道糞」と称したのは誤りで、それなりに敬意を払われて豊臣政権下で活動していたのも意外であった。また著者らしく信長・秀吉関連はけちょんけちょんの書き方で、これまでの天下人像の再評価も迫っている。2019/09/04