内容説明
剣術修行中の青年期を襲った未曾有の国難。迫り来る外国船の脅威の前に土佐勤王党を結成し、尊王攘夷に奔走。攘夷の決定を引き出すも、八・一八政変をきっかけに追い詰められていく…。憂国の士を襲った悲劇。
目次
第1部 尊王攘夷と土佐勤王党(剣術に明け暮れた土佐での生活;土佐勤王党を結成する)
第2部 天誅からの投獄生活(天誅、そして攘夷へ;山内容堂との対立;獄中での生活と闘争)
著者等紹介
松岡司[マツオカマモル]
昭和18年(1943)、高知県佐川町生まれ。法政大学大学院日本史学専攻修士課程中退。佐川町立青山文庫名誉館長、歴史家。現在は執筆や講演活動を行なう(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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国士舘大学そっくりおじさん・寺
59
この戒光祥出版(新人物往来社なき今、良い歴史本を出している)の「シリーズ実像に迫る」は大変良い。ブックレットぐらいの薄さながら各ページに貴重な図版がある。おまけに中身も実像に迫りながら良い入門書である。このシリーズ初の幕末の人物。「サムライせんせい」武市半平太である。私は高知が好きなので「はしがき」を読んでいてかつて楽しく旅行した事が思い出されて暖かい気持ちになれた。坂本中岡と違い脱藩する事なく藩と真正面に向き合った人である。土佐を愛していたのだろう。悪く描かれがちな人だが、相当に立派な人である。お薦め。2017/07/09
BIN
4
土佐勤王党の武市半平太の一生を簡潔に述べられた一作。まさに至誠の人といったイメージ。超生真面目で、その姿勢は牢獄中に牢番を魅了し、山内容堂の弟も含め多くの人が彼を助けようとするほどの魅力をもった人。なにげに将軍と実際に会ったとは知らなかった。最期に切腹できるのかと心配されるほど衰弱しきっていた半平太が見事三字の切腹を果たした際には「おーい竜馬」で見た乾退助の「武市見事であった」という一言が思い出させられた。短い人生と言え、真っ直ぐに(時には黒いが)見事に生ききった人だなと思います。2019/12/22
あきこ
3
司馬遼太郎の「人斬り以蔵」では冷たい人間像として描かれていたのでその印象が強かった。本書では武市の行動を簡潔に追っているが、自分の信じる正義に従って行動した人物であったことがわかる。まじめで妥協とか保身とかを全く考えなかったので、悲惨な最期となってのであろう。土佐、といえば龍馬だが、武市の足跡もなかなか興味深い。土佐に行ったら訪ねてみたくなった。2017/07/22