内容説明
「天正壬午の乱」を経て、初めて全貌が明かされる秀吉・家康・北条・上杉の代理戦争。真田昌幸ら信濃国衆の活躍と、「天下統一」への道。
目次
序章 波乱の天正十年―戦国史の転換点
第1章 天正壬午の乱後の東西情勢(信濃の争乱;上杉景勝の南下と信濃;秀吉、「織田政権」の再編を目指す;上野をめぐる争乱)
第2章 「織田政権」の崩壊と信濃の情勢(小牧・長久手合戦の勃発とその余波;信濃における代理戦争;真田昌幸の野望)
第3章 秀吉の影(石川数正の出奔と徳川領国の危機;徳川家康、秀吉に従属す)
終章 残照記
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スー
20
2天正壬午の乱から北条滅亡までです。どうせ一度の人生と華を咲かせようと戦国を駆けた依田信蕃が討ち死にしてしまい平穏が訪れる気配はまだない。上杉・徳川・北条は和を結ぶが境界線を勝手に引いた事と味方に取り込む為に約束した領地を与えられず秀吉が登場するまで争いは収まらない。酒井忠次の失策や徳川家康の失敗には同じ人間なんだと安心。北条氏政の危機感のなさは理解できない、あの信玄・謙信・勝頼を相手にしたのにどうしたことなのか?やはり老いなのか2020/01/03
roatsu
17
天正壬午の乱とセットで読むべき力作。武田家滅亡・信長横死の天正十年から、関白秀吉が家康と和睦し優位を確立する天正十四年までの甲信動乱の様相が、密接に関連した中央政治の動向と共に俯瞰でき、感動的である。秀吉を加え引き続き、徳川・上杉ら大国の動きとその影響下で御家存続と本領安堵、隙あらばの領土拡大や遺恨に基づく闘争に奔走する在地国衆の動きは目まぐるしく、同時代に侍として生まれた身の大変さを改めて感じさせる。P49とP104に載る当時の信濃と上野の城郭分布地図は各勢力の動向や事件を立体的につかむ上で重宝。やはり2020/07/03
BIN
5
前作天正壬午の乱の続編で北条滅亡までの旧武田領内の大名や国衆の動きが描かれてます。北条、徳川、上杉、豊臣の代理戦争的な部分もありますが、国衆たちの野望も見受けられて面白い。依田信蕃は佐久平定戦で名将ぶりを発揮していたというのに最期は蛮勇に奔って討ち死にとは残念すぎた。活発に動いていた小笠原貞慶とかも面白い。レアなところでは飛騨の攻防も触れられてます。天正大地震なければ家康もやられてたのかなあと気になる。あとがきを見て、著者の専門家としてのプライドや姿勢に脱帽しました。2020/03/20
あかる
3
天正壬午の乱の後編。北条-徳川の和議が成立した後、小田原攻めに至り、東国が豊臣政権化に組み込まれるまでを記す。 面白すぎてつい一気読みしてしまった。国衆は大名の意向に奔走させられるイメージが強いが、逆に真田昌幸、小笠原貞慶、木曾義昌といった国衆の思惑が、徳川・北条らを振り回し、豊臣政権の介入を許す側面もあったというのが面白い。 巻末の参考文献と年表は圧巻。もはやこれは辞典。 素朴な感想だが、前編から続く昌幸の尋常でない活躍ぶりと、共に活躍してきた依田信蕃の突然の死には、何度触れても呆気に取られる。2017/09/18
蛭子戎
3
裏切りアンド裏切り。室町時代の政治システム上仕方ない面もあるがそこまで裏切っておきながら忠義を口にするて戦国時代はサイコパスじゃないとやって行けないなー。本当に忠義を尽くした下条家の末路になんの救いもなかったのが印象的。2016/04/23