内容説明
甲斐武田氏14代当主で西国に流浪した異色の守護。将軍義教、満済准后など時の権力者に愛された特異で人間味溢れる生涯を描く。室町前期、武田氏研究の空白期を埋める一書。
目次
1 父祖の遺業
2 武田信満と上杉禅秀の乱
3 武田信元の守護補任と帰国
4 武田信長の活動
5 武田信重の流寓
6 武田信重の帰国
7 守護武田信重の活動
8 武田信重の信仰と修養
9 武田信重の死
10 武田信重の後裔
11 武田信重館跡と成就院
著者等紹介
磯貝正義[イソガイマサヨシ]
1912年、岐阜県生。東京帝国大学(東京大学)文学部国史学科卒。東京帝国大学大学院満期退学。文部省勤務、山梨師範学校教授、山梨大学教育学部教授を経て、山梨大学名誉教授。山梨県立考古博物館初代館長、武田氏研究会会長、山梨県史編さん委員会委員長を歴任。2008年7月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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bapaksejahtera
7
中世東国史関連の一連の読書として足利義教/持氏対立の絡みで手にとった本。甲州守護として長く君臨した武田氏は、戦国時代突入前室町幕府と鎌倉公方との角逐と国人層の動揺の中にあって困難な時期を迎える。この時の武田宗家の当主が武田信重であり、長く国を離れ京都など国外にあること二十余年。その間隠忍自重しつつ終には帰国して以降信玄の盛期を迎える人物。本書はその評伝である。当時の関東において限られた史料の中で時には異なる評価を受けた武将であるが、将軍義教、満済准后や当時最高の文化人と交わった人生はそのまま物語となる。2021/08/31
BIN
7
まず知っている人は少ないであろう武田信玄の5代前の信重。上杉禅秀の乱に加担した父信満が敗死した後、甲斐の国は一族や重臣が跋扈していたので20年余り国外逃亡して復帰した稀有な人物。逃亡中に足利義教や満済准后(満済准后日記に信重のことが記録されている)という権力者に気に入れられ、隣国の守護の援護のもと帰国する辺り中国の重耳のようなところがある。20年間よく我慢したと思えるが権力者に愛されたおかげで、おそらく生活もそこまで不自由ではなく仏僧と交わり、修養を積んだり、子沢山だし逃亡中も人生楽しんでいたように思える2017/10/22
総兵衛
1
2度目の読了。 守護武田氏を簡潔に述べた著作です。信重の事績は史料の残存から僅かに知られるのですが、「波瀾に富んだ一生」という表現も尤もだと思いました。ただ、「伝記」という性質からなのか、限られた史資料から読み取れる分を越えた視点があるので注意が必要です。但し、事実を丹念に拾い、伝承や後代の記録などを通して著されているものです。2021/08/07
吃逆堂
1
35年ほど前の本の再版。武田信重は、超無名ながら室町政治史的には面白い存在。その一生を読みやすく丁寧にまとめている。しかし、信重の帰国がなったのは「不抜の忍耐力」などではなく、単なる運なのではないだろうか。基本的に信重は逃げ腰な印象。2010/06/05
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