出版社内容情報
1カ月後にせまった「おおなわ大会」の練習について話し合っていた5年2組の学級会で、佐々木双葉が「おおなわ大会は出ません」と宣言し、騒然となる。
足が少し不自由なため、“みんなは勝ちたいのに、自分がいると勝てなくて迷惑をかける”と考える双葉の悩みと、双葉を応援したいクラスメイトの考えは七人七様それぞれ食い違う。ときにぶつかりあい、お互いの知らなかった面を発見しながら、方法を模索していくクラスの仲間たちの挑戦と成長の物語。勝負するなら勝ちたい子、運動が得意な子、運動全般苦手な子、無難にまわりに合わせる子など、タイプの違うクラスメイトがそれぞれ違う角度からこの問題に切り込んでいく。身体的、気持ち的に違う人と、どうしたら一緒にやっていけるのかを考えることは、これからますます必要とされる力。伝え合い、自分たちにできる方法を見つけていく優しく清々しい物語。
内容説明
左足にハンディをもつ双葉が、おおなわ大会には出ないと宣言。クラスメイトたちは、双葉を支えたいけどその方法がわからない。「みんなつめたいよ」「それってやさしさの押しつけじゃね?」「跳ぶんじゃないやり方で参加は?」「おれだって跳びたくないけど?」「にがてな人がいても勝てるルール!」「そんなうまいルールあるのかよ?」五年二組のだした答えは―。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
76
児童書。学校行事とハンディキャップ▽5年2組の学級会で突然「おおなわ大会に参加しない」宣言をした双葉(ふたば)は片足が少し不自由。自分が参加すると優勝できないと思い発言した。クラスメイトは「勝てなくても参加してほしい」「見学でもいい」「じゃぁ自分も参加したくない」等意見がでるが、一旦は「がんばります」と双葉は言葉を飲み込む。その日から学校に来なくなった双葉を心配して、クラスメイトはそれぞれ思いを語る▽見える障害も見えない障害もある。意見を出し合って冷静に話し合うことの有効性。ハピエン。2024.10刊2025/02/10
雪丸 風人
15
多様性への意識が強まっている今だからこそ必要な作品。おおなわ大会への足にハンディがある少女の発言に5年生のクラスが揺れ、子どもたちが正解を求めて試行錯誤を重ねる物語です。何に重きを置くかで、いくらでも答えが枝分かれしますね。みな平等にすることの難しさを十二分に実感できる話だと感じました。さまざまな立場の当事者7人という多視点によって織り成すストーリーは、優しい心や人の気持ちを想像する力を育んでくれるでしょう。平易な文章だからこそ伝わるものを、大人の私も全身で感じられましたよ。(対象年齢は10歳以上かな?)2025/02/23
ほんわか・かめ
14
何のために行う大縄大会か。もちろん一つの目標に向かってクラスで団結して取り組むことは大切。逃げ出したいくらいに苦しい思いでいる子はいないか。参加したいけど、自分のせいで足を引っ張ってしまうのではないか。ハンディがある子は外見で分かるが、それ以外の苦手な子は?落としどころがとても良く、それに至る過程も丁寧に描かれていて好感が持てる。勤務校にも大縄(長縄)の大会があり、保護者も参観に来る。優勝クラスは決めず、クラスで新記録を達成することを目標にしているみたい。2025/02/21
たんぽこ
6
すごく良かった!学校図書館に入れないと!2024/12/02
芦屋和音
5
小5の双葉は生まれつき左足が少し悪い。そんな双葉が全員参加の大縄大会を見学したいと言い出して……。勝ちにこだわる?優しさの押し付け?跳びたくない人の気持ちは?そもそも何のための大縄大会?同じクラスの7人の視点から。様々な考えにハッとさせられる。自分たちで大会のルールを考えて話し合いまでする。良書だ。課題図書になりそう。試験にも出るよ。2024/11/09