出版社内容情報
さなくば六番目の娘 親の骸をうめるだろうーー「六人娘の呪い」と飲んだくれの父親におびえながら、湿地にかこまれた村の農場でくらす姉妹。いつやってくるかわからない、不思議なサーカスを見にいったつぎの朝、長女は忽然とすがたを消したーー古い呪いにしばられた六人娘の運命は?(装画・挿画:佐竹美保)
内容説明
サーカスの一座「満月座」を追い、「沼の王」の鬼火が人をまどわすという、湿地を旅するウィラ。忽然と消えた姉を見つけだすために。古い言い伝えからのがれるために。失われた未来を取りもどすために―。
著者等紹介
ストレンジ,ルーシー[ストレンジ,ルーシー] [Strange,Lucy]
イギリスの作家。イギリス南東部、ケント州の田園地帯に、家族と三毛猫のムーといっしょに暮らす。中等教育の英語教師、俳優、歌手として活動していたこともある。伝説やおとぎ話に着想を得た作品が多く、歴史的な背景に魔法やファンタジーを織りこんだリアリティのある世界観が若い読者を魅了し、高い評価を得ている
中野怜奈[ナカノレイナ]
津田塾大学大学院イギリス文学専攻修士課程修了。学校司書として勤務しながら、ミュンヘン国際児童図書館の日本部門を担当。国立国会図書館国際子ども図書館では非常勤調査員として翻訳業務に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夢追人009
172
本を読む者は邪悪な魔女だと信じている迷信に毒された村で飲んだくれの父と優しいお祖母さんと共に暮らす6人姉妹の物語で、サーカスの夜に忽然と姿を消した長女を追って勇敢な三女のウィラが白馬に乗って一人で旅立ちます。現実と魔術と沼の王という悪魔の存在がナチュラルに溶け込んだ若い世代の読者に大きな力と勇気と感動を与えてくれる物語ですよ。どんなに苦しくても最後には悪魔を倒して正義が勝つと心底から信じさせてくれる海外ファンタジー小説の力作で大長編ですが読めば必ずやあなたを大満足させてくれますよ。#NetGalleyJP2025/02/04
花林糖
13
(図書館本)迷い沼と呼ばれる湿地帯が舞台。沼に囲まれ「六人の娘の呪い」が言い伝えられてきた村。その村で暮らす飲んだくれの父親と祖母・六人の姉妹の家族。呪いの運命から逃れる為に娘たちは考え.....。迷信・魔術・魔女を信じる人々、程良いダークさがあり読みやすく面白かったです。孫娘たちの幸せを考え守ろうとする祖母がとても素敵でした。作者はイギリス南西部ロムニーマーシュの人々の暮らし(19世紀末~20世紀初)を調べた上で物語を執筆。2025/01/15
Mipo
6
今年一作目の物語。2025年やまねこ賞暫定1位!沼の王』がモチーフで、沼地にすむ6人姉妹が登場する。ダークな雰囲気のなか、迷いや迷信に恐怖に心を譲り渡さず誇り高く生きる女の子たちが印象的。本がよめれば知恵と意思があるとされ、魔女扱いされる時代の話だけど、本や物語の力は大切だと教えてくれる。闇の魔術に支配されないためにはどうしたらいいか。現代にも現実にもあてはまるテーマ。雰囲気たっぶりで読みはじめたら夢中になれます。おすすめ!2025/01/11
nightbird
4
行方不明の姉を探す少女の冒険ファンタジー。6人の姉妹に沼の王の言い伝え、幻想的なサーカス一座など設定は童話風なのに、知識やそれを持つ人を恐れて足を引っ張り合う田舎の住人たちの偏狭さや、女ばかりの家で必死で威張り散らして立場を守る父親など、ファンタジー以外の部分が妙にリアル。とくにクズ父。クズの解像度が高い。ほんとクズで何も共感できないのだが読んでて一応内面が理解はできるように描かれているのが上手い。クズ父に接する娘たちの「嫌いだし死んで当然だと思ってるけど最後まで面倒は見る」という態度もリアル。2025/01/26
みよちゃん
2
父親の仕打ち、祖母の優しさ、自分たちにかけられた呪い、それに立ち向かう、6人の娘たち。魔女狩りを思い出させるストーリー。2025/02/07