出版社内容情報
母を病で亡くし、頼りの父は5か月前にふらっと家を出たきり行方不明。生活費だけは送られてくるものの、上から順に小5、小4、小1の妹たちの面倒を見ながら学校に通う、高校2年生の成。ある日、見知らぬ番号から着信が。それは近所のスーパーからで、妹が……えーー!? 不運、不幸、孤独、将来、不安、親ガチャ? ーーそれぞれにさまざまな思いをかかえながらも、人生のでこぼこ道を歩きだした若者たちへ、そしてすべての人へ、いまもっとも注目の児童文学作家が贈る応援歌。
内容説明
母を病で亡くし、頼りの父は5か月前から行方不明。上から小5、小4、小1の妹たちの面倒を見ながら学校に通う、高2の成。ある日、見知らぬ番号から着信が。それは近所のスーパーからで、妹が…え―!?
著者等紹介
いとうみく[イトウミク]
神奈川県生まれ。『糸子の体重計』で日本児童文学者協会新人賞(2013年)、『空へ』で日本児童文芸家協会賞(2015年)、『羊の告解』でうつのみやこども賞(2019年)、『朔と新』で野間児童文芸賞(2020年)、『きみひろくん』でひろすけ童話賞(2021年)、『あしたの幸福』で河合隼雄物語賞(2022年)、『つくしちゃんとおねえちゃん』で産経児童出版文化賞(2022年)を受賞。全国児童文学同人誌連絡会「季節風」同人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
J D
89
「心温まるストーリーを観て感動できる人って、そこそこ幸せな人たちなんだよ」と蛍は成に言う。蛍の父は蛍が生まれる前に事故死。母は、窃盗の罪で栃木刑務所で服役中。成の母は病死。父は失踪中。蛍は、成の妹として他の妹環、巴、奏と成と共に暮らす。これに成の叔母小春が加わる。この暮らしを通じて蛍は、前に進む力を取り戻し、成は、たくましくも思いやりを育み前進して行く。児童虐待ともとれる設定ながら人の成長を描いた作品。いとうみくさん、今回もさすがでした。2025/01/25
☆よいこ
85
YA。高校2年の高比良成(たかひらなり)は無心になりたいときシーツをアイロンがけする主婦力高め男子。母は亡くなり父子家庭だったが、父親は春に小5、小4、小1の三人の妹を残して失踪した。現金書留でお金は送られてくる。近所に住む叔母の小春が来てくれるので、成はなんとか妹の面倒を見て暮らしている。ところがそこに、異母兄妹を名乗る16歳の少女、蛍(ほたる)が現れる。一緒に暮らすことになった為、小春と飼い猫も加わり高比良家は大賑わい。蛍の事情とは?父親の行方は?▽大人の事情に振り回される系。成が良い子過ぎだと思う2022/12/16
chimako
74
YA向けの読みやすい一冊。母を亡くし父は家に帰らず(生活費はちゃんと送られてくる)幼い妹3人の世話をしながら高校に通う成が主人公。バタバタな毎日だが何とか回りついた頃に現れた腹違いと思われるもう一人の妹蛍。頼りになるのは近くに住む父の妹 小春叔母さん。成が良い子で妹たちも可愛い。後半、色々な事情が明かされる。蛍の出生や父の病気等々。しかしどんな理由があれ子どもをほったらかしにする父親にも万引きを繰り返す母親にも一欠片も共感はない。事情を知る小春はもっと早くそれを明かすべきだし、何やら駆け足でもったいない。2022/11/16
かおりん
32
高2の成は小学生の妹たちの面倒を1人で見てきた。そんな中妹だという蛍がやってくる。父は出奔、母は病没。成がよくグレずにやってこれたなぁと思う。叔母もある意味いい加減。蛍の父が、父の親友。蛍もすごい人生を背負い生きてきた。繋がり合い、みんな必死で生きている。凸凹でも進んでいくというラストが明るい。いとうみくさんの小説はあったかい。朝日中高生新聞連載。2023/12/08
ゆっき
31
朝日中高生新聞連載の書籍化。いとうみくさんが描く波乱万丈でこぼこな人生を歩む家族の物語。母を病で亡くし父は行方不明。母ちゃん代わりに小学生の妹たちの面倒を見る高2の成。投げ出さずにちゃんと家族を守る成はなんていい子なんだろう。「抱え込んでると先に進めないよ」つまずいてもいい、でこぼこ道を家族で助け合って進んでいってもらいたいです。いつか成がふつうの高校生に戻れますように。2022/11/14