出版社内容情報
「ねぇ、あの鳥さん、泣いてるね」ーー山の上動物園のメスクジャク・ピーコは、放し飼いの自由の身にもかかわらず、鳥小屋の外に出ようとしない。それは、遠い夏の日を思い出すからだ。1年目の夏、メスのクジャクと少年は出会った。3年目の夏、1羽とひとりでボール遊びをした。5年目の夏、メスクジャクは待っていた。そうして、鳥小屋から一歩も外に出なくなってから10年目の春、いじっぱりのメスクジャクが目にしたのは……。成長の痛みと愛をえがいた、感動のファンタジー。
内容説明
1年目の夏、メスクジャクと少年は出会った。3年目の夏、1羽とひとりでボール遊びをした。5年目の夏、メスクジャクは待っていた。鳥小屋から一歩も出なくなってから10年後の春、いじっぱりのメスクジャクが目にしたのは…期待の作家・戸森しるこがえがく感動のファンタジー。
著者等紹介
戸森しるこ[トモリシルコ]
埼玉県生まれ。武蔵大学経済学部経営学科卒業。『ぼくたちのリアル』で講談社児童文学新人賞を受賞し、2016年にデビュー。同作で児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞フジテレビ賞を受賞。2019年には『ゆかいな床井くん』で野間児童文芸賞受賞
牧野千穂[マキノチホ]
京都精華大学デザイン科卒業。ステーショナリーメーカーの商品企画デザイナーを経てフリーに。2009年、講談社出版文化賞さしえ賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
69
少年とメスクジャクの友情物語。何故かお互いの言葉が解るふたりは、すぐに打ち解けて友情を深めていく。だが、少年は次第に大人になってしまう……。クジャクの独白で進む物語はファンタジックで、これまでの戸森しるこさんの長編作品とは少し違う感じで戸惑う。序盤は少し物語に入り難かったが、終盤の繊細なやりとりは素敵だった。ベテランの飼育員が魅力的なキャラクターなのに、生かし切れていない感じ。飼育員はこの人と新人だけ、という設定でも良かったんじゃないかな。2021/10/28
東谷くまみ
44
戸森しるこさん3冊目。児童書だからといって迂闊でした。こんな伏線回収があるなんて!!最初に読んだ時はそのサプライズにまんまと嵌って、はぁ〜良かったねなんて温かい気持ちになったけど、レビュー書くためにもう一度読んだらなんか…切なかったなぁ。まだ恋を知らない子供たちと、恋することの切なさを知った大人たちとではまた、感想が全然違うかもしれないな。そう思うと牧野千穂さんの装画もかわいいだけじゃなくて…涙でじんわり滲んだように見えてくるから不思議。2023/02/16
Natsuki
42
「山の上動物園」を舞台に繰り広げられる切なくも優しい物語。読み終わってからしばらくして、いやいやお互い意地っ張りにも程があるだろ!と、思い出しツッコミ。嬉しいことにWサイン本♬山陽堂書店で牧野千穂さんの展示を観に行った時に見つけた一冊。裏表紙に描かれたハシビロコウのハッシーを見て裏ジャケ買い。ハッシーは主人公ではないもののいい仕事してます(*´艸`*)2024/07/07
タカギ
33
ちょっとひねくれたメスクジャクが主人公。彼女には名前が2つある。動物園の飼育員がつけたピーコと、シンジという男子小学生がつけたジャノメ。子どもの中には動物と交流できる者がおり、ジャノメはシンジと会うのが楽しみだった。しかし子どもはいずれ大人になる。ジャノメから見た動物園の動物たち、飼育員たちの様子がユーモアたっぷりで少し皮肉もあって面白い。かつてはさすらいのピーコと呼ばれて園内をうろついていたのに今ではひきこもりのピーコは、また外に出かけられるのか。最後まで温かくていい話。牧野千穂さんの表紙もステキ。2021/12/13
なななお
31
またしても戸森さんに欺かれる( ´⚰︎` )…勘の悪い私は巧妙に張り巡らせた伏線やエピソードに全く気付かず、ラスト辺りで、ブワッと一人の人物に収束して驚く。「えーっ‼️」と唸って初めから読み直す。戸森さん、またですか…つか私がぼんやり字を追っていたからいけないんです😭ストーリーはクジャクのメスと男の子の恋の過去のお話と、現在の飼育員の雑談とで進んでいく。聡明なメスクジャクのピーコは、園内をさすらうのが好き。ある日ピーコのお気に入りの切り株に迷子の男の子が。男の子にはピーコと会話出来る能力があり…2021/12/01
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