出版社内容情報
マツさんの家にかわいい子馬がやってきました。栗色の毛の子馬です。目と目の間から鼻すじ、口まで真っ白、右の後ろ足も真っ白。その姿がかわいくて、家族はかわるがわる馬小屋をのぞいていました。ところがある日、マツさんの家に1通の手紙が届きます。青い紙に書かれたその手紙は――。きずついたのは人間だけじゃない。あの日、やさしい目にいっぱいの涙をうかべたこの馬は、何を見ていたのでしょう。戦後75年をむかえたいま、平和への願いをこめておくる、奇跡といわれたある馬の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
17
岩手県南部にある伊藤マツさんの家に子馬がやってきたのは1934年(昭和9年)のこと。その頃は農作業の機械化などなく、馬が力仕事の役目をし仕事をこなしていた。どの農家にも馬がいたわけではなく、マツさんの家でも待望の馬に、家族同様大切に育てられていた。が、戦争により馬匹徴発告知書がきて、馬(第3ランタンタン号、通称ランタン)は戦地に赴く。名前を勝山号と変えられ、中国で何度も瀕死の重賞から立ち直った勝山号。実際に戦地から日本に帰ってきた馬もいたそうですが、食糧難の戦後悲惨な最後だったそうです。が、勝山号だけは…2021/10/12
ねこ
9
実際に戦地から戻ってきた一頭の馬の物語。賢く、人と気持ちを通わせることに優れた馬だったのだろう。そうでなければ日本に戻ることは叶わなかっただろうし、ましてや元の飼い主のもとへは戻れなかっただろう。抑えた筆致のおかげで、気持ちを落ち着けて読むことができた。子どもたちにもぜひ読んでほしい。2020/09/19
MM.❤️💙🍓👑
6
戦争に行って、戻ってきた。勇敢な馬のお話。 感動2021/06/13
︎💓ひかる💓
5
”軍馬”かぁ。。馬にも召集令状みたいな物が来るらしい。お国のために死ぬのが名誉だ!なんて😢その馬はランタンから勝山号と改名され戦場に行ったとさ。中国へ船で。馬も使い捨て、人間も😢身体中傷だらけになりながら人や銃弾を運ぶ馬、弱ってしまった馬は殺処分😫。生きて帰ってきた馬なんてランタンぐらいのものだ。お馬様だなランタンは。2021/11/30
紅花
4
戦争のお話は大抵、過酷な生活環境、労働条件、食糧難。そんな困難がつきまとうことは予想していたけど、馬が故の困難、危険があることを知った。 戦争の中でありがちな、無情で過酷な話ばかりではなく、厳しい条件の中にも、人間らしさの温かみのある話もあって、その分余計に戦争の悲惨さがしみてくる。 帰ってこられたのは奇蹟そのもの。2025/01/11