出版社内容情報
とうめいな野原にとうめいな野原を 痛むのは縫い合わすときだけ
第一歌集『水の聖歌隊』で現代歌人集会賞を受賞した著者待望の第二歌集。
「この歌集は夢と同じ言葉で書かれている。ここまで徹底して静かな、酸素のうすい夢の言葉で綴られた歌集が、かつてこの世にあっただろうか」(大森静佳さん/栞より)
「ちぐはぐとおもわれた言葉たちはおそらくあるべくしてそこにある。少なくともこれは笹川さんによってちからを吹き込まれた表現なのだとわかる」(江戸雪さん/栞より)
「この歌集で提示される鮮やかな詩情には驚かされる。(略)歌人は、言葉の鮮度の生命線として、敢えて「詩の痛み」に手を伸ばし、自らの詩を精錬する」(石松佳さん/栞より)
【収録歌より】
いつだって造語のようなすずしさで秋は来るのださびしくはない
簡潔な雨の降るなか思い出す〈時間〉には助手がいたことなどを
春はなおさらあなたの中に教会が二つ見えその小さめの方
沐浴と古地図、それからうつくしい草の作法のひとだあなたは
空自身が壊れぬように空がまだ試さずにいる一色のこと
【著者プロフィール】
笹川諒(ささがわ・りょう)
長崎県生まれ。大阪大学文学部卒業。2014年より「短歌人」所属。歌集『水の聖歌隊』(書肆侃侃房)で第47回現代歌人集会賞受賞。
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