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本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はっせー
57
最近ロシア文学を読む機会があるため本書を読んでみた。読めて良かった作品であった。著者の松下さんはロシア文学の研究者兼翻訳家のかたである。そんな松下さんがロシア文学と出会ったきっかけから始まり、ゴーゴリーやドストエフスキーといった作家の作品について考察する話である。ロシア文学を悪への深い考察文学と話している。私なりに感じたのは、この悪は、誰しにもある見て見ぬふりをしたい感情だと思った。人によって態度を変える。自分の苛立ちをぶつけたいという感情などなど。ロシア文学は劇薬やもしれない。2024/08/16
マリリン
39
文体が硬派な感じは意外だったが、著者の経歴と共に語るロシア文学は熱感がある。既読作品は再読したくなり、未読作品は読みたくなる危険な本。第7章の不可能性の怪物は直近で読んだアムレーエフ「穴持たずとも」。読了後の霧が晴れた感あり。第11章の、可能性としての女性文学は著者の思わぬ一面を知った。トルスタヤ「クィシ」・スタロビネツ「むずかしい年ごろ」は気になる。ザミャーチン「われら」と、ゴンチャロフ「オブロ―モフ」は読みたい。松下訳で読むソローキンの作品は相思相愛なのかと思うくらい文体が美しく妖艶な感じがする。 2025/02/23
塩崎ツトム
24
著者はソローキンの翻訳でブイブイいわせてる(笑)ロシア文学研究者。ロシア的なものとはなにか、ロシア人とは何者か、なぜロシアは父性を前面に出した独裁者を担ぎがちなのか。なぜロシア文学は胸を打つのか、理由を知りたかったけど、ますますわからなくなってしまった。2024/11/19
さとまる
6
ソローキンを初めとするちょっとイカれたロシア文学を翻訳している著者による「危険な」ロシア文学エッセイ。ロシア文学史の解説などではなく、極めてプライベートな読書体験を綴っている。対象はゴーゴリに始まり、ドストエフスキー・トルストイ両巨匠はもちろんのことチェーホフ、ザミャーチン、ソローキンなどなど。既読だったのはドストエフスキー『地下室の手記』とザミャーチン『われら』。未読の作品もどれもこれも読んでみたくなる。こうやってロシア文学の沼に落ちてしまうのか。2024/07/17
NAGISAN
5
ロシア文学は有名どころの作者しか読んだことがない。各作家・作品の紹介のはじめに、著者の個人的経験をユーモラスに記述されておられるので、ロシア文学と特有の(と個人的に思う)重苦しさや類似性などが取れて、すっと入る。極最近の著作が紹介されることが少ないのが残念であるが、一番印象に残った(著者の専門である)ソローキンや女性作家の作品を読んでみたい。2025/02/25
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