目次
1 ゴダールの悪夢(記憶のなかへ;薔薇窓;彫刻の人;まぐのりあ;ぬばたま;ゴダールの悪夢;空中回廊;はなびら踊る;天使のはしご;緑の日傘;白傷きらめく)
2 水の愛撫(水の愛撫;金色の眼;青い月;象牙色の水;花の眼力;春紫苑;路銀こぼれる音)
3 銀のマーカー(初蝶;時間の裂け目;母の喪の月;黒猫パン;銀のマーカー;白い花束;金星に近づく;水際;象形文字)
4 菫色した夜のうぶごゑ(薔薇の卵;菫色した夜のうぶごゑ;痛いひかり;水のにほひ;花の企み;迷宮;銀の風吹く;乳白の膚;残酷な四月;ダリアだりあの;合歓;靄の裳裾)
著者等紹介
尾崎まゆみ[オザキマユミ]
1955年愛媛県今治市生まれ。1991年「微熱海域」三十首により第三十四回短歌研究新人賞受賞。現在「玲瓏」撰者、編集委員。「神戸新聞文芸短歌」選者、伊丹歌壇選者。神戸新聞文化センター、NHK神戸文化センター、コープ神戸などの講師。日本文芸家協会、現代歌人協会会員。歌集、『明媚な闇』(2009年短歌研究社)日本歌人クラブ近畿ブロック優良歌集賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あや
16
地名を詠んだ歌、お父様を詠んだ歌が好きです。2023/03/21
rinakko
4
〈モナリザは明るいところがはづかしい左手首を右手が覆ふ〉〈ニケに逢ふための翼をひろげつつ階段をのぼるときのときめき〉〈クリムトの描くユデット虹彩のすこし開いたところを覗く〉〈焼き林檎パイは四つに切りわけて句跨りしてゐるやうな日日〉〈たましひはたとへば真珠うちがはの痛い心がつくる皮膜の〉〈息をするたびに花弁をふるはせるしらゆりの甘つたれに逢ひたい〉〈既朔とふ月のするどく降りてきて猫の眼のなかへ帰らうとする〉〈花がたみ目並ぶ春の迷宮は鏡花全集さうルビの燦〉〈白亜紀の草食獣は木蓮の六弁の花むつちり食べる〉2022/08/17
ひ。
1
本屋で帯に書いてあった歌が素敵で購入。 「散る花はゆるしてあげる死を語る夾竹桃の紅いくちづけ」 全体的に美術館へ絵画を見に行った感覚になれる本だった。 美しい歌たち。 「さびしいと書く2Bの鉛筆に銀色の月といふものが射す」「なめらかな夢をひらいてその蜜を吸ふやうな人かるく眼があふ」 「人差し指に触れるひそやかな感情を早送りするときのきらめき」2024/05/26
桜井夕也
1
散る花はゆるしてあげる死を語る夾竹桃の紅いくちびる(帯より)2022/08/06