目次
1 であえたなら(レコードにくちづけ;ストレンジャー・イン・サイゼリヤ;他人の恋ばかり眺めた季節;フタアシケナシザル)
2 わかりあえたなら(タタタタッターン;ダイアローグ;最強のうさぎ;長歌 はじめて恋人ができたきみに贈る歌)
3 くらしあえたなら(ココア週間;春は季節じゃなくて気象;Donald & Daisy;チアーズ;大停電の夜に―2018.9.6;土鍋だな;死ななきゃだいたいハッピーエンド)
4 おもひだせたなら(犀と雪;指輪を買ふ日;一緒に住もうか;アルカナ愚恋抄;うまれて)
5 なにかみえたなら(賭けをしよっか;裏声;応募原稿;閉市式;弟の助手席;ススキノ0時;#ストロングゼロ短歌;扶養照会;本名は駿河学;Exit またであえたなら)
著者等紹介
山田航[ヤマダワタル]
1983年札幌生まれ。第一歌集『さよならバグ・チルドレン』(ふらんす堂)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
261
山田航の第3歌集。「あとがき」によれば「コミュニケーションについての歌集をつくろう」とのこと。表題は篇中歌「寂しくて死ぬというより寂しさでしか殺せない最強のうさぎ」から。この歌ともう1首「赤鳥居くぐれば鈴木小鳥店こよひは鶴の雛売られをり」に見られるような言葉の飛躍は好きだが、全体としては、この人の歌も俗語とまではいわないが、かなりくだけた口語を駆使したものが多い。例えば「フードコートの夜の青さよ『どの店がまず潰れるか賭けをしよっか』」。「セーターに火を近づけて『しゃべんじゃねえ、黙ってろ』教室の窓辺で」。2024/06/11
ちえ
45
一度読んだら忘れられない印象的な題名に引かれて。◆今はもう空き家なんだなあの冬はイルミネーションにくるまれていたのに◆猫の頭蓋骨は小さい手に収まるくらいの量の春つかまえる◆手渡しは危ないからさテーブルに置くよ紅茶もこの感情も◆孤独死の部屋に整理がよくされた本棚がひとつ、残されていた◆海、海、海、海が見えるよ僕たちは海に奇跡の投げ売りを見た◆北海道新聞でもお見かけしていた作者は札幌生まれで在住。2022/12/11
だいだい(橙)
15
この歌集が最新巻、私には初読みの歌人。タロットカードをモチーフにした短歌の試みが面白かった。私もまねしてみようかな?最初の方はハッピーな恋愛の歌が並ぶが最後の方は不穏な感じがした。最初の歌集から順を追って読めばわかるのかも。穂村さんの影響はわかるが、山田さん独自の個性というか、とんがったものがよくわからない。刺さる人には刺さるのだろう。いい意味で優等生な感じがする作者の人柄を感じた。2023/09/03
まぁみ
13
第三歌集。初読みです。なんとも言えない魅力があります。チャーミングでキュートで、摩訶不思議な世界観。会話短歌が実に面白い。何首か後ほど。2023/10/16
ちぇけら
12
〈既読〉だけ消せるボタンを首にかけあなたに愛を伝える3時。なんてね。夏のひかりがぼくの傷あとをノックする。あなたはいつかだれかのこいびとになってしまっても、ぼくはいつまでもあなたのこいびとのままなのだ。むせる夏の夜の熱さを抱いて、シーツのうえであなたの体温はもっと熱かったと思い出してさびしい。鉄塔に向かって坂道を立ち漕ぎした夏を、ぼくはもう忘れてしまったから、アスファルトに落ちて割れた瓶を集め、空に向けてひからせるしかない。愛は呪いだ。あなたを失ってもなお、夏のなかからあなたの匂いを嗅ぎ分けてしまうから。2024/09/13