目次
1(そのみずうみに浮かぶものたち;夏が終わったら起こしてね ほか)
2(八月三十二日;ふかづめ ほか)
3(Splitting of the Breast;しゃんぐりら ほか)
4(さよならぼくのともだち;わんぱくランド ほか)
5(天才じゃなくても好き;下北沢23時17分 ほか)
著者等紹介
藤宮若菜[フジミヤワカナ]
1995年生まれ。2012年、福島遥の短歌に出会い本格的に作歌を始める。日本大学藝術学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やすらぎ
180
生きることを確認し続ける、藤宮若菜さんの短歌集。凪のような日々に憧れながら、まばたきをすると一瞬で景色は変わっていく。その時々に想いは流されながら、時に佇みながら、言葉が溢れてくる。何かひとつ、ほんの小さなひとつを失っても、手にしてしまったものに哀しむ。霧雨の中を走ったあの日、あんなに笑っていたのに思い通りになんていかないよ。やさしいきみ、やさしくなかったきみ。それって私も同じだよね。なんでこんなに幸せな気持ちを集めたのに消えていってしまうの。駄目なところがあるから美しいんだよって、今宵も月は見えないよ。2023/02/25
🈳
10
希死念慮とマイナーな性愛 身近なひとの死と虐待 こういうかたちで寄り添ってくれる歌があること、知らなかった 連作によって多少の違いはあるけど歌集全体を通してのイメージはライラック色 少女性に執着する感情、すごくわかる こうやって変わっていくなら死ねばいいのに もう誰の記憶にもなりたくない 思いがけず銀杏BOYSでてきてびっくりした それにしても「もう人生棒に振ろうよ」以上の誘い文句ってありますか2021/08/18
あお
3
死、孤独、夏の記憶。命ある今の尊さが詰まった短歌集。2023/09/05
toron*
3
どこからでも切れるような身もてあましコンビニエンスストアは晩夏 ラブホテル排水溝から溢れ出す誰かの喘ぎ、生きてって思う ふれたことないはずなのにくさぶえを吹いてる たぶん死がやってくる 遥か、と呟いてみるかえりみち胎児のような橋をくぐって 各章ごとにかストーリーはあるものの、歌集全体のトーンが均一で上手いと感じた。また、字余りの多い破調の歌もあるが作者の中にきちんと定形が身についている感じで、内容も含めてすっと入ってくる。死を扱う歌でも、感情の抑制がきいているのも良かった。2021/07/10
あさこいとう
2
YouTubeで作者と作品を拝見して購入。切り取られた情景は普遍的な場面もあれば、退廃的なムードを醸すものも。こうもみずみずしい死の表現があるのだと感心させられた。エロスとタナトス。2024/04/29