目次
愛について(抄)
約束
虹飼ホテルにて
詩人D
完全なあんまん
ペットボトル
漫画家志望 作家志望
デビュー
がんばれ
セバスチャン
祈り
朝刊配達
テオ
弟
メロディー
本日開店
フライング
ノイズ
サリンジャー忌
青空症
千葉先生は将来、何になりたいですか?
著者等紹介
千葉聡[チバサトシ]
1968年、神奈川県生まれ。高校教諭。1998年、第四十一回短歌研究新人賞受賞。歌人集団「かばん」会員。國學院大學、日本女子大学の兼任講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あや
10
千葉聡さんとの出会いは岩波ジュニア新書の「短歌は最強のアイテム」だったけれど、この歌集は千葉さんご自身の青春詠であろうか。どのような青春なのか、私自身は千葉さんより少し歳下なので、同世代というかちょっと下というか、時代の空気感はわからないでもない。ただ、それを手がかりに先入観でこの歌集を読み解くことには、少し躊躇する。現代短歌クラシックスのシリーズに収録されるにあたりのあとがきが良かった。現在高校の教員をされている千葉さん。さまざまな教員のご経験を経て、またこの歌集が再販されることをとても喜ぶ読者の人です2021/09/23
hakootoko
7
「エレベーター「閉」は「開」より乱暴に押され、カインはアベルを憎む●「先輩がフランスに行く」と聞いたのはノストラダムス明けの八月●四(五?)次会のカラオケで飲むカルピスの乳酸菌は果てなく生きろ●タッチラインを出そうなボール「生きてる?」と聞けばみんなが言う「生きてる」と●公演の前日の夜の役者たち特大音の屁をしたりする」本書の一個まえに読んだ歌集も引きにくかったがこちらも同様に。こういうのは、ぜんぶ読まないとわからないものな。著者と関わった人々の匂いすら伝わってきて、感情が揺さぶられ、読むとどっと疲れます。2024/10/31
mer
6
千葉さんは辻仁成が好きなのかな。2024/06/09
qoop
5
成長過程にいる青年たちの日常を切り取った連作が多く、青春小説を読むかのような読み応え。連作から一首のみ取り出しても成立するものもあるが、本書/著者の作品はやはり一繋がりで読むべきだろう。歌を評する上で散文的と呼ぶのは良いかどうか、改めて考えさせられる。/僕に〈火を見て泣いている人〉の真似させて漫画のスケッチをする/新聞よりやや新しいことを言う朝のテレビを消して眠ろう/両腕の事故に負けない辻君が「ハンドをした」と自己申告する/喪服など持たないヒロはジーンズで来た 命より赤い目をして2021/06/07
ぽん
1
「失恋」はあるけれど「失愛」なんてない 詩になれなかった落穂を拾う/失恋という単語があるのは、だれかが(というか多くの人が)その感情を表現したい言語化したいとことの表れなんだろう。でも、「失恋」のようには語られてこなかったとしても、きっと「失愛」と呼ぶべき事象もあるはずで。それをピッタリとして言葉で呼ぶことのできない悲哀を拾っているんだろうか。2025/06/20