内容説明
文学からアメリカのいまが見えてくる。更新され続けるアメリカ文学の最前線!「web侃づめ」の連載書籍化。#MeToo運動、ブラック・ライブズ・マター(BLM)、ノーベル文学賞を受賞した詩人ルイーズ・グリュックなど最新の動向についても大幅に増補した決定版!
目次
1 現代アメリカ文学のおもしろさ
2 浮かび上がるアメリカ社会
3 世界中を旅しながら
4 魅力的な作家たち
5 フェミニズムとアメリカ文学
6 FATをめぐるものがたり
7 文学は文字だけではない
8 翻訳とは何か?
著者等紹介
青木耕平[アオキコウヘイ]
1984年生まれ。出版社勤務を経て、一橋大学大学院に進学、1990年代のアメリカ小説/文化を研究する。現在、東京都立大学・武蔵野美術大学非常勤講師
加藤有佳織[カトウユカリ]
慶應義塾大学文学部助教
佐々木楓[ササキカエデ]
関西大学他非常勤講師
里内克巳[サトウチカツミ]
大阪大学言語文化研究科に勤める
日野原慶[ヒノハラケイ]
大東文化大学にてアメリカ文学を研究
藤井光[フジイヒカル]
1980年大阪生まれ。同志社大学文学部英文学科教授
矢倉喬士[ヤグラタカシ]
西南学院大学で現代アメリカ文学を研究
吉田恭子[ヨシダキョウコ]
1969年福岡県生まれ。立命館大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
押さない
3
9/10 『小説には読む喜び快楽だけでなく、語る喜び快楽もある。私はそれを愛している』 後半はゲームやコミック、集いのルポもあるので正しくは“現代アメリサブカカルチャーを多いに語る”本。 ちらほら出てくる「未邦訳」の文字に「何故私はもっと英語を勉強しなかったのか」と後悔するほど挙げられる小説全て読んでみたくなる。アメリカ文学が大好きなことを再確認した。 2024/05/20
Yoko Kakutani 角谷洋子/K
3
マイノリティの作家が多く取り上げられているけど、こんな時代だからこそ、ブレット・イーストン・エリス、ショーン・ペンらの白人男性の本音を描いた書評が印象に残った。 エリスのどんな作品に対しても美学を優先し、アーティストが被害者意識をまとって自己愛的な表現に溺れることを許さない、決然とした態度に共感した。ハリウッド映画に対しても、最近の作品は企業化されすぎている、との評は的を射ていると思う。2021/04/16
加藤
3
超面白い。加害者としての読者にこだわる藤井光氏の文章と、リピドーが一番読み手に伝わってくる青木耕平氏の文章、"スペキュラティブ・フィクションの異世界性こそがフェミニスト的なのだ。"という本書随一のパンチラインも飛び出す吉田恭子氏の文章が溢れ出すようなトピックのかたまりの中でも筆致ふくめ特に印象に残った。矢倉喬士氏のデリーロ『ポイント・オメガ』評に垣間見れる細馬宏通的な批評精神、小説が「想定問答集」と化すことへの問題意識とそれに抵抗する作り手の姿を捉えた文章も忘れがたい。『あるささやかな人生』読みたすぎる。2021/02/06
おちこち
3
タイトルに「大盛」とある通り、語られる作品だけでなく、背景となる社会問題(フェミニズム、人種差別、性的マイノリティ、トランプ政権、肥満)も、小説や詩だけに限らない表現媒体の多様さ(グラフィック・ノベル、ゲーム、手話)も幅広く、個々の書き手の個性が際立っており、さまざまな文章が楽しめる。 また、紹介されている作品は最新の作品ばかりであるため、現代海外文学の状況を知るのにはうってつけだろう。2021/01/01
ひるお
0
話題の小説はもちろん、古典のアダプテーションからグラフィック・ノベル、アニメ、ビデオゲーム、手話翻訳された詩まで、日々生起する“現代アメリカ文学”を、様々な角度から追ったウェブ連載書籍版。アメリカ現代文学に詳しくなくても、その空気を感じ、読みたい本を見つけられる。一歩立ち止まって“多様性”とは? を考え直す必要があるのでは、という問題意識も、自身の立ち位置と共鳴するところがあった。読みたくなったのは、パトリック・デヴィットとティリー・ウォルデン。2024/09/05