目次
愛には自己愛しかない
ある輪唱
黄金と饒舌
千の言語、万の言語
宇宙にヘッドフォンをかぶせて
士師記
狼を追えば
塩と契約
潮干狩り
花をくわえて〔ほか〕
著者等紹介
服部真里子[ハットリマリコ] 
1987年横浜生まれ。早稲田短歌会、同人誌「町」の結成と解散を経て、未来短歌会に所属。第二十四回歌壇賞受賞。第一歌集『行け広野へと』(2014年、本阿弥書店)にて、第二十一回日本歌人クラブ新人賞、第五十九回現代歌人協会賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
chiaki
31
          
            ことばのコラージュ、詩的な飛躍が難解!でも詠んでいてどことなくダークで幻想的、煌びやかさや、背すじが伸びるような気高さを感じる服部さんの歌に陶酔。お父さまを想われた歌も多く、「肺を病む〜」の結句「西瓜の水の深き眠りを」の瑞々しさ感じる落ち着きにため息がもれました。あとがきには"人と関わることは本質的に暴力で、勇気とは愚かさと暴力の謂ではないかと思うときがあります。けれど、私は勇気の人でありたい。"と添えられ、服部さんの歌人としての決意が感じられる。きっと一生かけても分からないけど何度も何度も読み返したい。2025/10/21
          
        ちぇけら
20
          
            ぬかるみに愛を浸している夜に自転車置き場の自転車たちは。ひとひらの徒労がわだかまった、ぬるい欲望のぬかるみで、水の音があまりにしずかで、わたしは思わずとなりの袖をひきよせた。わたしのすきな、わたしをすきではない男のそびらは、硬くて、しかし初雪のようにほろほろと崩れていきそうな感じがした。永遠に明日が来ないようにと、昔の男が残した傷は、闇になれた眼に紅くてさびしい。杏子飴、なめよう?わたしは誰にでもなくつぶやいた。味のしないキスをわすれるための、甘い甘い杏子飴。もうすぐ、幻の雪がとけてしまうね。もう行くよ。2019/04/24
          
        藤
9
          
            何回も何回も読んでしまう歌がある。意味が分からないのに刺さる歌がある。歌がある、ということがこんなにも、と思えた一冊。2019/06/02
          
        nemunemuanyo
8
          
            「さみどりの栞の紐を挟みこみ やわらかに本を黙らせている」 「フリースに雪くっつけたままでいる さよなら 星の匂いと思う」 「晩秋の日付を記し切りはなす便箋 わたしを遠ざかる帆よ」 静かな気持ちになれる それが心地良かった2020/10/03
          
        わいほす(noririn_papa)
7
          
            装丁がコラージュなのは、言葉と言葉の組み合わせから不思議な心象風景を創り出す著者の短歌を象徴しているかのよう。「わたくしが復讐と呼ぶきらめきが通り雨くぐり抜けて翡翠(かわせみ)」からはじまる歌集は一読すると難解で、棒読みのように読み進めると、いくつか引っ掛かる歌もあって、それが意外と多かったりする。そして父との別れ「無表情をつよく憶えている父の貌を思えばやがて薔薇窓」「斎場をとおく望んで丘に立つ風のための縦笛となるまで」。こんな他愛もない歌も好き。「ビスケット無限に増えてゆくような桜並木の下の口づけ」2024/01/21
          
        

              
              

