出版社内容情報
【新しい白昼夢が動き出す】
不安も、喜びも、悲しみも、予感も、○○も、
生まれたての子どものように睦みあう。
(東 直子)
<自選短歌五首>
せいねんとせいねん神経衰弱のカードを伏せるときの微風
蚊柱に腕をさしこむ柔らかさその歓迎に夏は濁るよ
魔球ぅ魔球ぅ校舎の裏で囁いて、あなたは消えてしまった魔球ぅ
みずからの口を近づけ飲むスープ愛を告げたら抱けない気配
きみのおとうさんはさみしいひとだった朝虹を彫る版画教室
中山 俊一[ナカヤマ シュンイチ]
1992年、東京生まれ。法政大学社会学部卒業。
新鋭短歌シリーズより第一歌集「水銀飛行」上梓。
映画監督としてUFPFF国際平和映像祭2012入選、脚本家として第19回水戸短編映像祭グランプリなど。
Twitter : @poseidon_29
目次
1(Door;ではでは ほか)
2(コミックブルー;おかいもの ほか)
3(天狗の飛び方;軽いトロフィー ほか)
4(すずらん;雪夜のパトロール)
著者等紹介
中山俊一[ナカヤマシュンイチ]
1992年、東京生まれ。法政大学社会学部卒業。新鋭短歌シリーズより歌人デビュー。映画監督としてUFPFF国際平和映像祭2012入選、脚本家として第19回水戸短編映像祭グランプリなど(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kaizen@名古屋de朝活読書会
26
#中山俊一 #短歌 七の段くちずさむとき七七の匂いに満ちる雨の土曜日 June July永い雨だね(沈む島)それにしたって永い雨だね 銀の花枯れたんだろう俯いてサワーヘッドも湯を浴びるおれも 海洋葬撒けば眩しく瞬いて額縁のなかの海のパズルは 青い犬走れよ絵の具が渇いても筆洗いバケツの水でありたい 原宿的色彩に死す藁麦挽きの水車が回る農村でキス ふたりして海に降る雨を眺めてた水溶性の傘をひらいて 返歌 ひとりでも海に降る雨描いていた油性絵の具を板に拡げて2016/12/14
おはぎ
8
いろんな短歌があるなあ、という印象。ほんとうに同じ人の短歌なの?と思ってしまうくらい、ずいぶんと切り口の違う歌が同居している歌集だと思った。採った歌がたまたまそうだったのか、「あゝ」「〇〇ァ」といった表現が散見されるのも気になった。「本棚にきみから借りたコミックが馴染んでしまう これがかなしみ」「だれからも教わっていない口笛が擦れた天使の呼吸みたいで」2023/01/08
にがつ
5
本屋で気になって購入。日常で始まって、非日常に飛ばされるような短歌集。個人的に「人妻の三角巾から垂れ下がる手首を掴む炎天の駅」がエロいと思って印象深い。あと「きみに会うためだけにある駅だった特急電車は潔く春」もグッとくる。2016/11/24
アイカワ
2
農機具のレバーを握る夜の夢しょうがねえなァ田園を刈る / "しょうがねえなァ"がほんとにすごい。2022/04/15
ゆうと
2
金属のような角々しさと、すっと消えていくような儚さと。2021/05/23