内容説明
言葉と文化の焦土から立ち上がった戦後短歌。「日本」とは何か、「私」とは誰か。この問いはまだ受け取られていない。戦後短歌には未来を見出すための鍵がある。
目次
1 出発について(七十年の孤独―第二芸術論の今;文脈と批評の力 ほか)
2 源について(郷愁と記憶を超えて―「国民の精神的な共有財産」論を考える;「黒峠」としての故郷―創られる「日本」と「故郷」 ほか)
3 今について(むしろ「語られぬ文語」の問題として;文語と口語―時間の文体・無時間の文体 ほか)
4 未来について(言葉の「全電源喪失」の後を;あえて「時間」について ほか)
著者等紹介
川野里子[カワノサトコ]
1959年5月大分県生。千葉大学大学院文学研究科修士課程修了。歌集に『太陽の壷』(第13回河野愛子賞)、『王者の道』(第15回若山牧水賞)など。評論集に『幻想の重量―葛原妙子の戦後短歌』(第6回葛原妙子賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かふ
13
なんでこの本の記録がなかったのだろう。また図書館で借りてしまった。川野里子はNHK短歌の講師なのだが、理論的に説明するのは批評家として出発したところにあるのか?https://note.com/aoyadokari/n/n9d33da6adbe12024/11/20
てくてく
5
戦後の短歌の状況や変化をめぐる考察とコラム。時代を問うこと、私を問うことについてつづられている。2016/04/16
すずき
4
東日本大震災以降に浮かび上がった課題を戦後に立ち戻り考えた評論集。言葉が無力であるかもしれない時に、どのように歌を詠むか?その根本的な問いと、周縁にある「近代と現代」、「〈私〉性」、「文語と口語」などの問題を論じる。実際に戦後を論じているのは第一章と第二章。第二芸術論に始まる短歌否定・滅亡論から前衛短歌の起源、女歌など。第三章と第四章では現代の作品群が論じられる。気がかりなのは八十年代や九十年代に関する論考がないこと。ぜひとも戦後と現代を繋ぐインターバルについての著者の意見も伺いたい。2016/04/30
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