内容説明
知られざるイスラム世界。世界が涙する愛と哀しみの物語。2回発禁処分を受けながらも発売を続け、すでに20万部を超える。イラン最大のベストセラー作品。遂に、完全日本語訳完成。イタリアのジョバンニ・ボッカチオ賞受賞。
著者等紹介
サニイ,パリヌッシュ[サニイ,パリヌッシュ] [Saniee,Parinoush]
1949年テヘラン生まれ。大学で心理学を専攻した社会学者。技術・職業訓練教育省の機関で研究調査部門に勤務した経験を持つ
那須省一[ナスショウイチ]
1954年宮崎県生まれ。宮崎大学卒業。元読売新聞社英字新聞部編集長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Porco
21
これは大当たりでした。1950年代から90年代頃までのイランを、1人の市井の女性を主人公に描いています。原作はペルシア語ですが、邦訳は英語版からの重訳らしい。翻訳小説特有の読みにくい文章ではないのが、まず良い。 若い頃は旧世代の価値観と対立し、共産主義者の夫と思想は異にしながら激動の日々を送り、イスラム革命後も周囲に翻弄され、子供たちが大きくなると彼らの価値観とも対立する。そんな女性の一代記。日本人も共感できます。2018/09/27
ケニオミ
10
一言で言うならば、イラン版「女の一生」でしょうか。好きな男性との結婚に破れ、顔すら知らない男の下へ嫁いだマスーメの人生は波乱万丈と言う言葉が生易しく思えるほど大波を何度も被ります。それでも実家からの支援は最低限に抑え、自らの家族を守るために奔走するマスーメは気高く見えます。しかし、家族も独立し、これから自分の幸せを求めようとする彼女に・・・。いくら時代は変わっても女性、母親に対するステレオタイプはそのまま。イスラム世界の悲しい現実でした。図書館で偶然出会った心に残る一冊です。強くお薦めします。2014/05/07
きのみ
5
イランの女性という視点から、パフラヴィー王朝時代、革命前後の混乱、イランイラク戦争、前後の混沌を鮮明に描写している。まだ読み終わったばかりで、自分の中で消化できていないけど。いい本に巡り会えた。2014/06/27
さくま
2
久々に続きが気になって気になって仕方ない小説読んだ気がする。イラン革命を挟んだ何十年間のテヘランが舞台なこともあり、ノリとしては大河。知られざるイスラム世界、とか帯に書いてあるしとにかく分厚いので手を出しづらそうだけグイグイ進む。何度も憤りで胸がつまった。でも面白かった…!2014/04/03
amorle102
1
少女時代から、彼女が3人の子供たちを育てあげるまでの波乱万丈な人生が描かれる。女というだけで、生まれたときからハンデがあり、教育をまともにうけることさえできない。悲惨な苦難が続く中で、果敢に前に進んでいく姿は、逞しいが、彼女の様々な困難、降りかかる運命が、知らぬうちに彼女を形成しているのも、なんだか切ない。原題は、My Shareという意味のペルシャ語で、『私の取り分』という意味。彼女が自身に、私の取り分は一体なんだったのかと呟くところが、なんとも胸が締め付けられる。2015/10/03