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本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
111
「トンネルを抜けたらわたし寺でした ひたいを拝むお坊さん、ハロー」といった思わず笑ってしまうような風変わりな歌が多くて、非常に好み。あまりにも面白いので、読みながらにこにこしてしまうことも多かった。病気で亡くなってしまったことが非常に残念だ。病と闘っていたことを感じさせない疾走感と軽快なリズムが素晴らしい。清新な抒情を感じさせる歌もあって、そういった歌が一番の好みかもしれない。「内臓の一つが桃であることのかなしみ抱いて一夜を明かす」。2015/01/03
コットン
81
第一歌集なのに完成されている歌集。印象に残ったのは「えーえんとくちからえーえんとくちから永遠解く力をください」「わたくしは水と炭素と少々の存在感で生きております」「千万のハートマークに負けないと鐘を鳴らしているベルマーク」など…。2021/03/06
けんとまん1007
64
不思議な透明感があるような、それでいて、いろいろな表情も見せてくれる詩集。笹井宏之さん、2冊目。透明感は、それぞれの詩が作られた年齢からくるものかもしれない。自分のいのちを削るような、絞り出すようなところからくる拡がりを感じるからだろう。時々、ドキッとするような衝撃すらあるのが凄い。2020/12/27
アマニョッキ
58
好きなひとにプレゼントするために購入。笹井さんの短歌が好きすぎて、相手が短歌好きかどうかもわからないけどプレゼントしようとしているわたし。もし読んでもらえなくても、そのひとの本棚にこの作品が眠ってくれるだけでもいいと思う。えーえんとくちからえーえんとくちから永遠解く力を下さい2019/02/17
ケロリーヌ@ベルばら同盟
57
『かどわかす』の意と思い違いをしていました。浚渫の『人浚い』でした。軽やかな韻律が、柔らかな音色が硬質に変調する緊張が、心の澱みから傷ついた魂をそっと掬い上げてくれるのです。甘いうす桃色の衣を纏っていた日があったのを忘れ、薄汚い波打ち際で砂に塗れた古い割り箸の姿が愛しいのだと歌ってくれるのです。優しい風がこの暗渠にも吹き込みます。いけません。あなたの前にはトゲトゲで醜い私は出て行かれません。繊細な網目からぽとんと泥の中に戻って、それでも青空は見えるから、あんまり綺麗に見えるから、ここで泣いてもいいですか?2020/01/08