感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
378
著者は建築家。こうした木造教会の研究のために、57歳から13年間フィンランドで学んだ。フィンランドは民族的には北欧ゲルマン系の特徴を持つが、言語のフィンランド語はウラル・アルタイ語族に属し、他のヨーロッパ諸国とは異質である。文化的にも、キリスト教が伝わったのが1155年であり、長らく森に囲まれて暮らしてきた。教会建築も古くは木造であり、独特の様式を持っている。現存する中ではピュハマー教会(1640年代建造)が古く、外観こそそっけないものの、木の内部空間はびっしりと天使が描かれており、独特の空間を構成する。2020/12/19
たまきら
41
読み友さんの感想を読んで。三菱地所でお仕事をされていた方がフィンランドの木造教会を研究されているところが印象的でした。この本は研究発表でもあり、簡潔にわかりやすく歴史的背景や建築的な重要性が説明されていて、感銘を受けました。個人的には素朴な初期の教会がとても好みです。簡素に見えるのに美しい屋根を見ながら、冬は大変だろうなあ…とか、宗教の力ってすごいなあ…と思わせてくれました。自分一人で旅してもわからないことを教えてもらった気分です。読後、しばらくうっとりしました。2021/03/30