内容説明
ハンセン病問題は1996年の「らい予防法」廃止以後のいまもなお、日本社会における重大な人権侵害の事例として注目を集めている。そうした社会の関心と相まって、教育現場ではビジュアルでハンセン病問題を学べる教材が要望されている。本書はプロの漫画家によるハンセン病問題を主題とした書き下ろし一大長編コミックである。小学生から手に取ることができ、大人にも読みごたえのある作品となっている。主人公の置かれた境遇に感情移入して読み進めるうちに、ハンセン病をとりまく様々な事象を学べる構成になっている。多くの読者の手に渡ることを願って、本書を刊行する。
著者等紹介
古林海月[フルバヤシカイゲツ]
鹿児島県生まれ。2003年「夏に降る雪」で『イブニング』からデビュー。公務員時代に仕事でハンセン病療養所・邑久光明園を訪問。その後も入所者・退所者らと交流を重ねながら『麦ばあの島』の執筆をつづけてきた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ニッポンの社長ケツそっくりおじさん・寺
72
ハンセン氏病をテーマにした漫画物語2巻。戦前戦後の悲しい歴史が辛い。今は治る病気が人生を台無しにしていた時代。主人公や登場人物の大半は女性で、現代の女性の問題にも触れていて、日本近代女性史の物語でもある。療養所内で患者同士が結婚すると、男性は生殖できないように手術されていたとは知らなかった。その手術の不徹底で妊娠した主人公・麦。療養所を夫と脱け出そうとするが、仲が良いと思っていた仲間の密告で失敗。つらく痛い物語である。この世から病気が無くなる事は素晴らしいと改めて思い知る。読んで損無しの漫画である。2018/09/19
たまきら
36
入所者の苦しみとともに、病気を出した家族の苦しみもつづられていく2巻です。…びっくりしたことに、中学の頃の図工の先生が「ガンジス川にはらい病患者がずらっと並んで物乞いをしていてね。うつらないって言われて日本と全然違っておどろいたわ~写真たくさん撮っちゃった」とあっけらかんと言うのに嫌悪感を抱いたことを思い出しました。そう、自分が初めてハンセン病を知ったのはこのときでした。2019/11/11
ベーグルグル (感想、本登録のみ)
31
今回は麦のハンセン病僚友の千代(本名:はる)の話。涙なしでは読めなかった。ハンセン病については色々聞いていたり、学んだつもりでいたが、療養所の中での劣悪な状況については知らないことも多く壮絶な内容であった。印象に残った事は、診療所内では結婚は認められていたが、結婚の条件として男性に断種が課せられたり、妊娠が判明してから妻の堕胎と夫への断種があったという事。生まれた子供を窒息させ死産として処理していた事は聞いていたので、その時代のハンセン病の方の人権侵害の歴史には心が痛んだ。2019/05/19
さよちゃん
12
感想は後ほど。2019/09/18
クサバナリスト
4
読んだ。次巻へ。2019/10/13