1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゲオルギオ・ハーン
12
関ヶ原合戦についての通説を一次資料を使って再検討点し、江戸時代や明治の陸軍参謀本部が捏造した点を浮き彫りにし、著者なりに事実を再考した一冊。江戸時代の小説のネタとして家康の天下とりの戦いとして目をつけられたために事実関係を考慮しない話になった。また、従来の作品よりも面白い話にしようと新作が出る度にリアリティのある(但し、事実ではない)エピソードが追加されたというのも興味深い。読むうちに疑問を持っていた点のいくつかが解消されていったので感謝したい。2020/10/09
futabakouji2
9
私の思っていた関ヶ原は一体なんだったのでしょうか?一次資料から関ヶ原の戦いを検証した本。小早川が開戦後すぐに裏切り、陣を形成する時間もなく石田方壊滅で終了。1日で終わるどころかもっと短時間で終わってしまったようです。では何故ドラマのような展開があったかというと時代が下って、軍記物で関ヶ原を脚色。本当の話でしたら、面白みがないので、事実でもないことをてんこもり。後世では面白い方を信じてしまいましたというオチでした。この説通りなら、ドラマの関ヶ原超つまらないので、ドラマの脚本家も困るね。2018/07/10
getsuki
7
関ヶ原合戦に関して長年流符していた通説を検証したという点では、評価できる。歴史は勝者によって書き換えられるのはよくある話だが、それに踊らさせてしまうくらいに後世の軍記物は面白いのかも知れない。ただ、反動で終章にて徳川史観と家康を批判してしまうのは如何なものか。感情的な部分を所々で感じてしまうのは研究者としてはマイナス要因。2016/07/23
兵衛介
5
久しぶりに衝撃を受けた戦国本。関ヶ原くらいになると史料も割と残っているのだと思っていたら、世に流布している定説の殆どは江戸時代の軍記物が元になっていたという、戦国史のいつものパターンだった。裏切りを催促した家康の小早川隊への問鉄砲、布陣図、参戦武将、小山評定、すべてが出鱈目だった。小早川隊は開戦と同時に裏切り、西軍は善戦する間もなくあっけなく敗走したというのが真実らしい。また、鈴木眞哉氏により提唱された戦国合戦の実態は飛び道具主体の遠戦志向だったというのも、史料を元に否定している。非常に興味深い一冊。2014/11/15
しゃむ・しゃむ
4
資料を比較することで浮き上がる流布された歴史の偽り。高名な合戦絵図達が江戸時代に大流行した軍記物を下地にしていたとはびっくり。こんなことがきっと、他にもいっぱいあるんだろうなあ。歴史とはなんだろうね。2019/12/21