内容説明
経済力を武器に政治目標を実現する!統一から30年、ヨーロッパ随一の“地経学”大国になったドイツはどこへ向かうのか―。
目次
序論 歴史の回帰か
第1章 ドイツ問題
第2章 理想主義と現実主義
第3章 継続と変化
第4章 侵略者と犠牲者
第5章 経済と政治
第6章 欧州と世界
結論 地経学的な準覇権国家
補遺 欧州と難民
日本語版への補遺 「平和国家」と「フリーライド」
著者等紹介
クンドナニ,ハンス[クンドナニ,ハンス] [Kundnani,Hans]
英王立国際問題研究所(チャタムハウス)上級研究員。英バーミンガム大学アソーシエイト・フェロー。欧州外交評議会(ECFR)研究部長、ドイツ・マーシャル財団(ワシントン)上級研究員などを歴任し、2018年から現職。ドイツやヨーロッパの政治・外交問題を専門とし、有力学術誌『フォーリン・アフェアーズ』などに寄稿している。1972年生まれ。英国出身
中村登志哉[ナカムラトシヤ]
名古屋大学教授。専門は国際関係論、特にドイツ・欧州と日本の外交・安全保障政策。メルボルン大学(オーストラリア)政治学研究科博士課程修了、Ph.D.(政治学)取得。1960年、愛知県生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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バルジ
5
ウクライナ戦争において再び露呈した「ドイツ問題」を考えるために再読。欧州での指導的地位にあるドイツの不相応な外交態度の淵源を知るには最適な一冊のように思える。本書では「地経学大国」として経済力をテコに欧州を不安定化させる外交姿勢を厳しく見ているが、この「軽武装・経済重視」の思考はウクライナ戦争以後も大きく変容していない。経済力をバックに他国へ意思を強制させながら、軍事的貢献は最小限、自国の「平和国家」のアイデンティと絡まり、徐々に自己主張を強めるその姿は「責任」ある国家の姿なのかと問いたくなる。2023/01/27
バルジ
3
欧州の勢力均衡には大きすぎが覇権を握るほど大きくもない「準覇権国家」としてのドイツを分析しその地経学的な外交政策を検証する。本書によるとドイツがその経済力を背景に自国の意志を他国に押し付けるようになったのはユーロ危機からである。この時ドイツは自国に課している厳しい財政規律をギリシャ等財政不安を抱える国にも課し自国の利益の最大化を図る。またリビア空爆の際はアメリカどころかフランスとも反目し安保理決議を棄権、その一方で武器輸出に勤しむ。反アングロサクソン的なドイツナショナリズムの勃興はどこか既視感がある。2020/08/28