内容説明
民俗研究家の著者が、長い年月をかけ、群馬で暮らす40~80歳代の人たちから聞き取り調査を行い、県内各地域に残る方言と古くから伝承されてきた『妖怪』伝説を掲載。上州人の言葉は、空っ風や雷の影響から語句が荒いと思われがちだが、滑らかなアクセント、流れるようなイントネーションが存在することや、上州の妖怪は伝統的な精神文化を創造していることを解き明かした。
目次
東毛編(“方言”一三六言;“妖怪”火あぶりっ田 ほか)
中毛編(“方言”二四四言;“妖怪”酒が出たしみず ほか)
西毛編(“方言”二三五言;“妖怪”猟師とお湯 ほか)
南毛編(“方言”一二五言;“妖怪”鎌いたちに襲われた山人 ほか)
北毛編(“方言”二二三言;“妖怪”猿の嫁ごになった娘 ほか)
著者等紹介
酒井正保[サカイマサヤス]
埼玉県に生まれる。日本大学芸術学部音楽学科卒業。劇団バラ座で佐々木孝丸、千秋実両氏に師事。NHKより18年間レギュラーとして連続放送。昭和24年より民俗調査に入る。町田佳声氏、小泉文夫氏、松平頼則氏に師事。元日本大学芸術学部特別講義講師、高崎芸術短期大学教授。育英短期大学教授、群馬医療福祉大学講師、県文化財総合調査委員。現在、群馬県ボランティア活動推進委員、高崎市人権教育講師。主な著書:「榛名山東面の生活と文化を訪ねて」(上毛新聞社)上毛芸術文化賞・県文学賞受賞、他(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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志村真幸
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著者は、高崎芸術短期大学などで教鞭を執っていた民謡/民俗学者。 群馬の民話や民俗に関する多数の著作がある。 本書は、地域別に群馬県内の方言と民話を紹介したもの。方言が単語ではなく、短い文章の形で示されているのが貴重。生活のなかでの言葉の使い方が実感できる。猟師たちの用語が集中的にとりあげられているのも重要だろう。標準語訳付き。 「妖怪の民俗」の部分は、民話を原話のままに収録している。三枚のお札、河童、化け猫など馴染みのものが多いが、火あぶりにされた男の恨みなど地元ならではの話も。2022/01/21