内容説明
近代詩は、従来の日本の文学に見られなかったものである。万葉の長歌や歌謡など、長い形の詩歌はあったが、より深い思想や哲学など、複雑な精神性を自由にうたい上げる西洋詩の導入は、創造心に燃える明治・大正の人々に新鮮な驚きを与えた。自己表現としての詩集の造本は、次第に工夫を凝らし、詩人と画家、版画家との交流を得て、内容にふさわしい美しい装幀を生み出す。明治・大正の貴重な初版詩集のコレクション(井田架蔵書)より、近代詩歌の歴史をたどりつつ、造本の美を探る。
目次
近代詩歌の産声(新体詩抄)
浪漫主義の高まり(島崎藤村;土井晩翠 ほか)
浪漫から象徴へ(薄田泣菫;蒲原有明 ほか)
象徴主義の時代(三木露風;北原白秋 ほか)
明治・大正詩集の装幀