出版社内容情報
原子炉施設のシビアアクシデントのように「発生頻度は小さいが,一旦発生すると,人と環境への影響が甚大な事象」について,リスクの定量的な検討結果に基づいて,十分な安全対策を講じることが重要である.
原子炉施設のシビアアクシデント時の放射性物質挙動に関する基本的な物理量の値を知りたいけれど,手近な教科書が見当たらない.手計算で値を推定しようとしても,さて,どうすれば良いのか…….このように立ち往生する若手の原子力安全の関係者を,度々目にする.
原子炉施設のシビアアクシデント時の放射性物質の挙動を知ろうとすると,気体分子運動論,流体力学,熱・統計力学,原子核物理,エアロゾル工学,原子炉工学に加えて微分方程式論,物理・化学や数学などの多岐に渡る分野の知見を利用することになる.
本書は,これらの多岐に渡る分野の知見を,シビアアクシデント時の放射性物質挙動と大気中への放出量の評価,いわゆるソースターム評価の分野の視点から「基礎の理解,理論と実践」の専門書・教科書として,一冊に集約した.
目次
1 原子力発電とシビアアクシデント
2 原子炉施設と放射性物質
3 原子炉施設の事故時の放射性物質挙動
4 原子炉施設の事故時の放射性物質の沈着
5 工学的安全設備による放射性物質の除去
6 エアロゾルの粒子径の時間変化
7 原子炉施設の事故時の燃料からの放射性物質の放出
8 原子炉施設の事故時の放射性物質の大気中への放出
付録
著者等紹介
梶本光廣[カジモトミツヒロ]
博士(工学)。筑波大学大学院システム情報工学研究科構造エネルギー工学専攻博士後期課程修了。1953年1月22日、広島県生まれ。日本原子力研究所(JAERI)、原子力発電技術機構/原子力安全解析所(NUPEC/JINS)、原子力安全基盤機構(JNES)、原子力規制庁(NRA)において、40年間に渡り、原子炉施設の安全研究・安全規制に従事した。また、国際原子力機関(IAEA)における基準類の策定や経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)の国際協力研究計画に参加した。2018年3月、原子力規制庁の安全技術管理官(シビアアクシデント研究部門)を退官した。原子炉施設のシビアアクシデント時のソースターム評価及びそれらの発生頻度と影響を体系的に分析する確率論的リスク評価(PRA)が専門(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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