内容説明
いちばん悩んでいる当事者・家族・関係者を励ます本!ひきこもりの人の数は100~300万人と言われ、まさに日本の社会問題。ひきこもり経験のある青年、家族、そして「ともに歩む」気持ちで精神科医療、教育、福祉等の視点から支援施策と問題点、改善と充実をめざす課題を提起。
目次
第1部 何度でもやりなおせる―自分に合った道を探して(当事者から)
第2部 信じて任せて待つ―決して孤立しないこと(家族から)
第3部 ひきこもり支援実践のいま(医療;教育;福祉;雇用・就労;創造活動;大人の支援)
第4部 ひきこもり問題研究と支援の課題(総論;支援の課題提起;制度・施策・支援機関等)
著者等紹介
漆葉成彦[ウルハシゲヒコ]
1958年京都府生まれ。大阪大学医学部卒業。精神科医師。佛教大学保健医療技術学部教授
青木道忠[アオキミチタダ]
1944年大阪府生まれ。大阪教育大学卒業。社会福祉法人大阪福祉事業財団理事、子どもの貧困問題大阪ネットワーク副理事長。NPO法人子ども・若もの支援ネットワークおおさか理事
藤本文朗[フジモトブンロウ]
1935年京都府生まれ。滋賀大学名誉教授。博士(教育学)。全国障害者問題研究会顧問(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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s-kozy
67
ひきこもりの本人とその家族の当事者、支援実践者や研究者など14名の執筆者によりまとめられた本書。ひきこもりについて多様な視点から知ることができる。ひきこもりは個人、家庭の問題ではなく、現在の日本社会のあり方が生んでいる問題と捉えることが重要だと理解することができた。「ひきこもりとは決して医療だけの問題ではありません。何らかの脆弱性をもっている個人に、社会の矛盾が集中している現象であると考えるべき。(略)ひきこもりとは社会的排除の一つの形で(略)ひきこもり問題の解決のために、社会の責任は重大」(190頁)。2017/06/19
ゆう。
30
ひきこもりについて、本人や家族の当事者の声や支援実践者の声と研究動向について学べる内容でした。重要だと思ったのは、ひきこもりを個人責任とするのではなく社会問題として捉える視点です。またHIKIKOMORIは英語となっているということも大きな発見でした。研究と実践の課題として不登校とひきこもりにおける近似性・共通性と連続性の解明が必要なことや雇用・労働環境の問題とのかかわりを解明することがあるというのは、僕自身が実践・研究していくうえでも重要な指摘だと思いました。2017/05/22
Akihiro Nishio
27
仕事でも関わっているひきこもり支援に関する本。ガイドラインを噛み砕いて説明するのが中心で、当事者や家族、支援団体からの報告にも特に目新しいものはなかったかな。唯一興味深いと思った指摘は、ひきこもりを雇用している事業者さんの意見。「事業者向けのマニュアルがないことに驚いた」とのこと。確かに。そもそも雇用者側の声というのは、あんまり聞こえてこない。それに特化して1冊本を作ってはどうだろうか?と、また新しいアイデアが浮かんでしまった。東海地方の事業所を核にを回って、やってみるかなぁ。2017/09/29