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内容説明
「なぜ、ぼくだけがこんな目に?」―母親に名前さえ呼んでもらえない。“That Boy(あの子)”から、ついには“It(それ)”と呼ばれるようになる。食べ物も与えられず、奴隷のように働かされる。身の回りの世話はおろか、暴力をふるわれ、命の危険にさらされ、かばってくれた父親も姿を消してしまう―児童虐待の体験者がその記憶をたどることは、きわめて苦痛と困難をともなうものだ。本書は、米国カリフォルニア州史上最悪といわれた虐待を生き抜いた著者が、幼児期のトラウマを乗り越えて自らつづった、貴重な真実の記録である。
目次
プロローグ 救い出された日
第1章 幸せだったころ
第2章 ぼくは悪い子?
第3章 何か食べたい
第4章 ナイフ
第5章 父さんが帰らない
第6章 祈り
エピローグ ロシア川のほとりで
著者等紹介
ペルザー,デイヴ[ペルザー,デイヴ][Pelzer,Dave]
カリフォルニア州デイリーシティに生まれる。州史上最悪といわれた児童虐待を生きのび、その後、米空軍に入隊。一方で、自らの経験を活かして、カリフォルニア州各地の児童自立支援施設および青年援助プログラムで活動を続ける。児童虐待にたいする一般の認識の向上およびその防止に力を注いだとして、米国内で高い評価を得ている
田栗美奈子[タグリミナコ]
翻訳家。お茶の水女子大学英文科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えみ
44
何故こんなにも残酷になれるのか。同じ命あるものなのに、言葉が通じる人間なのに、愛すべき我が子なのに…。児童虐待。こんなに悍ましい事件が特別ではなく、あちこちで起こっていると思うと恐ろしさに身が竦むと同時に悲しくて泣けてくる。虐待されている本人はもちろんのこと、虐待している側も、行き着くところまで行き着いてしまえば何故自分はこの子を虐待しているのか理解できなくなっている。ということが顕著に表れていた。著者自らの虐待体験をありのままに綴った本書だからこそ、切羽詰まった虐待の地獄が生々しく読者に訴えかけてくる。2020/10/18
こぽぞう☆
16
何年かぶりの再読。何度読んでも酷すぎる。絶望的な虐待を生き抜き、最終的に心身を病むことなく、虐待の連鎖も断ち切った著者に賞賛の意を示したい。2018/06/03
ふぅ。
7
友人から勧められた一冊です。友人からも事前に「凄く残酷な虐待の話だよ」と教えられ、心して読み始めたものの、お母さんの過酷な虐待に唖然。 あまりに酷い虐待の様子は現実離れしていて、悲しいや、可哀そうなどという感情は思わせてくれませんでした。 しかし、どんな虐待のシーンでも、「昔の優しいお母さん」が出てくる場面以上に遣り切れない思いはありませんでした。 これが現実にあった話だと思うと悍ましいです。2013/10/12
勤勉くん
4
こんな幼い時の記憶がよく残ってるなぁ。と半信半疑で読んでいた。しかし事実の有無にかかわらず、こうゆう事態が起こっているということは、事実であると感じている。 著者が本書で述べていた、「これを乗り越えたら、将来、人のためになることをやらなければならない。」とか、「こうゆう経験をしたからこそ、生きることの深さを感じた」という発言に対し、私は、自らも過去にひどいいじめを受けてきたこと、その時に思ったことが、著者の思ってることと同じであることがわかった。是非、次作も読みたい。2013/07/28
さゆき
4
再読。悲惨な現実。2013/01/19