オルモスト・ムーン―月が欠けゆく夜

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  • サイズ A5判/ページ数 422p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784863322189
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

二十年前、家からほとんど出たことのない八十八歳の母。変わり者の母のために、苦労しつづけた四十七歳の娘。父が亡くなって以来、母の面倒を見てきた娘がついに母を手にかけたとき、その胸中に去来したものとは?静かに壊れてゆく、ひとりの女性の物語。

著者等紹介

シーボルト,アリス[シーボルト,アリス][Sebold,Alice]
1962年アメリカ・ウィスコンシン州生まれ。シラキュース大学卒業後、ヒューストン大学・カリフォルニア大学大学院で学ぶ。そのあいだにも、さまざまな職につきながら作家を目指して小説を書きつづけていた。1999年、大学生のときにレイプされた体験を赤裸々に描いたノンフィクション『ラッキー』(アーティストハウス)で衝撃のデビューを果たす。2002年に初めての小説となる『ラブリー・ボーン』(ヴィレッジブックス)を発表、14歳の少女がレイプされ殺されるというショッキングな冒頭で話題を集め、たちまちベストセラーとなり、全世界で1000万部以上が売れるという文学界では異例の作品となった

イシイシノブ[イシイシノブ]
上智大学比較文化学科卒業後、洋画配給会社に勤務。その後、翻訳活動を始める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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かんやん

29
「こんなに人を憎んだことはない。それくらい私は母を憎んでいた」認知症の母を娘が殺めるところから始まるこの小説は、プルーストのマザコン大長編や谷崎潤一郎の母恋慕短編とは対極の世界であって、母と娘の確執を描いた作品として興味深い、と読み始めたものの、とりとめのない独りよがりな自分語りが延々と続いて退屈した。ふらふらと彷徨い歩いているかのような非現実感は、母殺しのショックからくるものだろうが、認知症・介護・殺人などのプロットにより、却って二人の関係の核心に迫ることができずに、テーマがぼやけてしまったように思う。2022/01/27

hikarunoir

7
陰鬱で冗長な老母殺しの内省。しかし前作同様、書かずにおけない書き手の業と、やはりこれも著者の体験から出たことの、もう一つの極を窺わせる。2017/12/11

えりや

4
本との出会いが運命だと言うのなら、神様はどういうつもりなんだろう。老いた母を殺した主人公。母の唯一の理解者であった父は、擦り切れるように死んだ。彼らの間にあるものを愛だと言うには、この単語が単純な光に満ちすぎている。血縁は暗く、断ち切れないものだ。私には鬱だった妹がいる。殺したいとは思わないが、もう関わりたくない。けれどそうも行かないだろう。きっとこれは一生引きずらねばならない重荷なのだ。この本の主人公と同じように。さて、この本の結末が救いを齎したか。答えはノーだ。2013/11/28

星落秋風五丈原

4
介護に疲れた女性ヘレンが、実の母親を殺してしまう。 本作で取り上げられるのは、新聞の三面記事に何度となく出てきた事件だ。 私達は作品を通していやおうもなく知ることになる。人間は決して全き善なる存在ではないことを。どんな物事であっても、また事件であっても、厭な事、知りたくない事として耳をふさぎ目を閉じてしまえば、「なかったこと」にはしてしまえる。でも、そうすることは同時に、一方で、特定の人の悲しみや苦しみからも目を背けることになるのではないだろうか? 2010/05/11

りつこ

3
辛い話だった…。母に縛られてきた人生。見捨てることができなかったのはそれでもやはり愛していたから、親子の絆を断ち切ることができなかったから。他人事とは思えず読んでいて苦しかった。2011/01/16

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