内容説明
オーシャンは家から出ない。仕事も旅行も復讐も、家にいながらできるもの。そんな彼女のもとに1通の謎めいた手紙が舞い込んだ。送り主は、10年前に亡くなっているはずの友人―この手紙の謎を解くには、部屋の外に出るほかない。そこでオーシャンがとったある妙策とは…。処女作でいきなりブッカー賞候補。『コレクター蒐集』をはじめ、独自の世界を疾走するフィッシャー待望の長編小説。
著者等紹介
フィッシャー,ティボール[フィッシャー,ティボール][Fischer,Tibor]
1959年、英国ストックポート生まれ。両親は英国に移住したハンガリー人。ケンブリッジ大学卒業後、フリーランス・ジャーナリストとなる。92年、デビュー長編小説『Under the Frog』がベティ・トラスク賞を受賞、ブッカー賞候補にもなった。93年、イギリスの文芸誌「グランタ」において、期待の若手作家の一人に選出される
池田真紀子[イケダマキコ]
上智大学卒。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きゅー
5
400ページを最後まで読む価値が見えなかったので半分ほど読んだところで終了。『コレクター蒐集』くらいの長さがちょうど良いのではないかと。ディレッタントな小金持ちのセックスの話が続くのにうんざりした。2015/09/17
猫のゆり
3
部屋を出なくても十分生活できる、明るい引きこもり(?)のオーシャンがついに部屋を出るまでの、長い長い道のりとは・・。小ネタ満載で横道にそれまくり。登場人物はみな一癖二癖もあり、ひとつひとつが短篇小説になりそうなエピソードをいくつも抱えていて、それを逐一喋るので、なかなか本筋であるストーリーが進んでいかない。その過程を楽しめるかどうかで、好き嫌いが激しく分かれそうな小説だった。私にはツボでした。2009/02/24
らりぃ
2
これは意識の流れでもプルーストでもなく、どっちかといえば漱石の雑談小説の系譜に連なる小説なのではなかろうか。寧ろ、アニメ版サザエさん的といおうか。無限に枝葉末節分岐していく話は、どこにも辿りつきそうにないし、実際辿りつかない。いかにも英国的な、ペシミスムに満ちた自虐的ユーモアが全体のモチーフと言えないことも無いが、面白いのか面白くないのかよくわからんかった…いや、面白かったんだけど。この小説をヒロインが家を出るまでの小説と捕らえるならば、まさにぴったりの邦題だなあ。2009/05/18
すけきよ
2
好きなんだか嫌いなんだかよくわからない味だった『コレクター蒐集』のティボール・フィッシャー、邦訳2冊目。あらすじは期待したんだけど、やはり、どうもオシャレさんな感じで、いけ好かない文章(笑)内容も『コレクター蒐集』と同じような、奇人たちのカタログ。平易な文章の筈なのに、なんか長く感じるんだよなぁ(悪い意味で)物語自体は、もっと先が見たいような、終わってくれてありがたいような……個人的に、二律背反な作家です。2008/12/15
夜キチ
1
まっとうじゃないキャラクターとまっとうじゃないエピソードを積み重ねてしごくまっとうな物語を作り上げるという妙技。2014/01/29
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