内容説明
19世紀、ロンドン―いま一人の紳士が英国魔術を復活させようとしていた。世界幻想文学大賞、ヒューゴー賞、ローカス賞受賞。
著者等紹介
クラーク,スザンナ[クラーク,スザンナ][Clarke,Susanna]
1959年、イギリス、ノッティンガムに生まれる。オックスフォード大学を卒業後、しばらくロンドンで出版の仕事につくが、そののちイタリアとスペインに二年ほど暮らし、英語を教えていた。スペインから戻り、出版の仕事をしながら『ジョナサン・ストレンジとミスター・ノレル』を書き始める。完成まで十年を要した力作は発表するや各方面からの絶賛を浴び、世界幻想文学大賞、ヒューゴー賞、ローカス賞受賞、世界的なベストセラーとなった。現在は、ケンブリッジ在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケイ
123
魔術師と呼ばれる為の条件がそもそもおかしいのだ。すべてのことが斜めから描かれているというか、何か変だけれどそれが大真面目に進んでいくような展開が滑稽で楽しくて。(注)を参照しながら読んでいると、あれ?となる。なんと、これも作者の構築した世界なのだ。きっかけを作った二人の魔術師は、その後どうなったのかと思っていたら…、(注)を丁寧に読んでいると、なるほど彼らの役割の重要性はこういうことかと。そんな事も1つ1つが凝っている。時は、ナポレオンがまさに飛ぶ鳥を落とす勢いの頃。それがどう関係してくるのだろうか。2017/04/11
まふ
98
ナポレオン戦争時代の英国における魔術の世界を描いた大作全3巻の第1巻目。ジョナサンとノレルは共に魔術師であるがジョナサンが理論家乃至原理研究派(=理論魔術師)であるのに対しノレルは実践派(=実践魔術師)であるらしい。本編ではノレルが地方からロンドンに出て時の政財界貴族連の大物たちにその実力を発揮して見せ、人々に大いに感動を与える。例えば、ヨーロッパの主要な港にイギリス海軍の軍艦を集めさせて、世界中の戦艦よりも多く集まってしまい、ナポレオンを驚かせる、などという離れ業を披露する。⇒2025/06/01
NAO
58
19世紀のイギリス、ヴィクトリア朝の雰囲気を持ち、ディケンズやオースティンを彷彿とさせる文体、と聞いてハードルが上がってしまったのかもしれないが、1巻はなんとも読みにくい、わかりにくい内容だった。ノレル氏のヨークの聖堂での魔術はゴシック風、そしてもう一つの魔術はオカルト風。このノレル氏の魔術が、どうやらあとあと大変なことを引き起こすような予感。2017/11/17
星落秋風五丈原
37
【ガーディアン必読1000冊】意味ありげに出てくる二人の魔術師。一人はノレルでもう一人はラストに登場。魔術を広めたいノレルに対して一方は偶然魔術を手に入れる。全くキャラクターの異なる主人公がこれからどう絡むのか。魔術でナポレオンを倒そうとするノレル氏の思いが周囲の思惑によって見事に空回りしていく件はコメディ。2018/04/24
ヘラジカ
22
英文学者の藤井光氏がTwitterで紹介していた記事"25 Genre Novels That Should be Classics"で知った作品。こちらではあまり評価が芳しくないレビューが多いようだが、いまのところは文句なしに面白いと思う。スピーディーで起伏のある小説に慣れている最近の読書家には合わないのかもしれない。魔術の立ち位置が微妙というか絶妙で、それだけで読んでいて楽しい。没頭して一気に読了した。現時点で傑作を確信しているがこれから更に面白くなりそうで大変楽しみである。2017/01/18
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