内容説明
本書は改造社より大正十二年七月に発行された末弘厳太郎著『嘘の効用』を底本として、その表記を現代的に改めた改訂版である。
目次
嘘の効用
改造問題と明治時代の省察
役人の頭
小智恵に捉われた現代の法律学
民法改造の根本問題
仏蘭西労働連盟の動揺
過激社会運動取締法案批判
住宅問題と新借家法
工場法の改正について
世界的恒久平和の理想と国際労働会議
陪審法案を読みたる後の感想
無産者の立場より見たる陪審制度
婚姻に関する法律と女子職業問題
著者等紹介
末弘厳太郎[スエヒロイズタロウ]
民法学者。労働法の権威。大審院判事であった末弘厳石の長男として山口県に生まれる。1912年東京帝国大学独法科卒業。1921年東京帝国大学法学部教授。戦後、中央労働委員会会長。1888~1951(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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YY
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私が持ってるのは大正12年発行の改造社によるものであるけれど、登録されていないからこっちに。ケースでの勉強を推奨するのは(私のようなガチガチの概念法学者からは好みでないが)まだいい。しかし、人のことを信用しすぎ。判決が全人格からでる、とか笑止千万。家族の問題は多少先見性があってよかったが、労働者の話などはほとんどプロレタリア文学の間抜けなコピーの様相を呈している。2012/07/19
Cephalopoda
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著者の学者としてのキャラクターはよく知らないのだけど、法律やその解釈をある種のフィクションとして捉えるというのが面白い。2020/02/13
Hisashi Tokunaga
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青空文庫版で再読。いま我が国では森友加計高プロと官庁公文書、データのウソが誠に喧しく喧伝されている。大正期の帝大民法学者が語るウソはには「効用」が秘められていた。確かにウソには「効用」がある。問題は誰にとっての「効用」かという事を改めて・・・・・。2018/05/20