内容説明
…1943年~2015年の未発表短歌を含む670余首を収録…『苦海浄土』(1969)刊行以前に詠まれた初期短歌と『アニマの鳥』(1999、のち『春の城』)刊行前後から詠まれた短歌を中心に集成。
目次
冬の山
満ち潮
道生
泡の声
わだちの音
白猫
春蝉
うから
春衣
木霊
白痴の街
火を焚く
雪
氾れおつる河
藻
にごり酒
指を流るる川
海と空のあいだに
鴉
廃駅
あらあら覚え
著者等紹介
石牟礼道子[イシムレミチコ]
1927年、熊本県天草郡(現天草市)生まれ。1969年、『苦海浄土―わが水俣病』(講談社)の刊行により注目される。1973年、季刊誌「暗河」を渡辺京二、松浦豊敏らと創刊。マグサイサイ賞受賞。1993年、『十六夜橋』(径書房)で紫式部賞受賞。2001年、朝日賞受賞。2003年、『はにかみの国 石牟礼道子全詩集』(石風社)で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。2018年2月、死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ここぽぽ
19
「短歌は私の初恋」言い切ってしまう。淀みない言葉で余計な物がない。短歌の意味を理解するのはまだまだ学びが足りないわたし。選ばれた語句が胸に突き刺さるような感覚は何だろう。根底に痛みがあるのか?日記の表現より短歌で歌を詠むことを選ぶ石牟礼さんの心の内は、常人では理解できないと思った。2024/09/16
スイ
15
『苦海浄土』では、石牟礼さんが水俣病に苦しむ人々の依代となっているように感じたが、歌集では逆に石牟礼道子という存在の中にこちらが取り込まれるような感覚だった。 「表現の方法もわからないまま、それなりに七五調にたどりつこうとしているのは、日常語で表現するには、日々の実質があまりに生々しかったからではないか。日記を書かず、歌に形にしていたのは、ただただ日常を脱却したいばかりだったと思われる。」 噛み締めるように読んだ。 再読したい。2022/07/02
チェアー
14
主に彼女が水俣に関わる前の歌たちを収録。教科書以外の本を知らなかったという彼女からこれほどの言葉がふつふつと湧き出てくることを怖いとすら思う。死ぬことや人生への後悔など、穏やかとは言えない言葉が綴られる。死と海はずっと彼女の心身の奥底にあった。それらは時に激しく彼女の生を揺さぶっていた。2020/02/24
ryohjin
5
短歌の内容は半分も理解できていませんが、石牟礼道子さんは自分にとって特別な存在です。これからもずっとじっくりと読んでいきたいと思います。2020/01/04
卍ザワ
2
これも、カライモブックスにて、新本で購入。主だった短歌、670余首収録。解説にある、短歌ごとの、石牟礼道子、旧姓の吉田道子のエピソードをあわせての解題になるが、3度の自殺未遂、実弟の轢断死亡事故、父や母、祖母オモカ様の死、歌友の志賀狂介の服毒自殺、戦災遺児のタデ子など、この辺のところは、解説を読まないと、短歌だけでは、情景、コンセプト的なものがイメージしづらい部分がある。しかし、吉田道子の時に、文学も教科書での知識しかなく、見よう見まねで作った短歌が、心の襞に直接触れたような、生々しい感触があった。2024/06/27
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