内容説明
加計呂麻、水俣、東京、福島…石牟礼道子、島尾敏雄との交流も含めて過去から現在まで、小さな旅の記憶をたどり書きとめた70のエッセイ集。ていねいに生きる人たちへ、畏敬の念をこめて贈る一冊。
目次
1 老婆とわれと入れかはるなり(孤―島尾敏雄;還―石牟礼道子)
2 眠れぬ夜に眠るには(詠―夏目漱石・与謝野晶子・若山牧水;旅―種田山頭火・中原中也;詩―淵上毛錢)
3 ていねいに生きて行くんだ(災―天変地異の怖さ;潔―病いと向き合う;生―逝ってしまった人たちへ)
4 わたしの居場所・帰る場所(郷―ふるさと人吉と八代;青―見知ラヌ自分ガソコニイル!)
5 歩きながら考える(命―直かに見る;躍―読み返してみてよかった;森―来てみたかった;北―雪がはらはらと舞う時に)
著者等紹介
前山光則[マエヤマミツノリ]
1947年、熊本県人吉市生まれ。1972年、法政大学第二文学部日本文学科卒。元高校教師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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keroppi
70
母の葬儀で帰郷した折、この本の著者と出会った。我が故郷に住み作家活動を続けている。コラムを編集したこの本は、熊日文学賞を受賞している。石牟礼道子はじめ様々な作家について書かれているが、何より心に響いたのは、故郷についてと逝く人について語られたところ。母を亡くした寂しさに、著者の文章は、私を優しく包み込むように癒してくれた。それは、ご本人の人柄でもある。本が読めなくなっていた私に救いの手を差し伸べてくれた。本は、とても素敵なもので、生きていくということは、素敵なことなんだと。そう、ていねいに生きて行くんだ。2020/07/02