内容説明
よみがえる植民地朝鮮の実像。“日朝一体”は幻影だったのか。1930~1940年代、日本統治下の国策映画と日朝映画人の個人史をもとに、当時の実相に迫る。映画監督・今井正や崔寅奎、女優・原節子…あの時代、彼らは何を考え、どう行動したのか。
目次
第1部 『望楼の決死隊』のミステリー(満州・朝鮮国境の国策映画;原節子と今井正の謎;戦争と解放、その後)
第2部 朝鮮シネマの光芒(ベストシネマ『授業料』;『家なき天使』の墜落;「解放」前後の朝鮮シネマ)
著者等紹介
下川正晴[シモカワマサハル]
1949年7月、鹿児島県生まれ。大阪大学法学部卒。立教大学大学院博士課程前期(比較文明論)修了。毎日新聞西部本社、東京本社外信部、ソウル支局、バンコク支局、編集委員、論説委員等を歴任。韓国外語大学言論情報学部客員教授、大分県立芸術文化短期大学教授(マスメディア論、現代韓国研究)。日韓次世代映画祭ディレクター。2015年定年退職し、著述業。近現代史、韓国、台湾、映画を中心に取材執筆中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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中国で発見された、日本統治下の朝鮮を描いた国策映画について調べた本。日本統治を美化し、日本人と朝鮮人の融和を宣伝する目的で作られたプロパガンダ映画でありながら、当時の朝鮮の状況は現実的な表現がされている。学校内では日本語、学校外では朝鮮語で語り、宴会では日本人教師と朝鮮民謡を一緒に楽しむ姿からは、地方では読み書きできない人が8割を占めるが、会話が困難でも幸福を分かち合うことは可能であるメッセージが読み取れる。粗悪な撮影環境で、検閲の制約もある中、日朝合同でより良い映画を撮ろうとした情熱がみなぎっている。2019/09/13