内容説明
「転換期」といわれて久しい。「近代」は暮れなずみながら、なお影を長く伸ばし、来るべき時代の姿は定かではない。しかし…。福岡ユネスコ・トークライブ講演録。
目次
二つの無差別殺人事件
未来の喪失
縮小する世代間ギャップ
「まなざしの不在」の地獄
大爆発期としての近代
変曲点としての現代
GMの君臨と破綻
マーケットの無限化
大量生産・大量消費・大量廃棄
フィクションの時代
せめぎあう二つのベクトル
征服から共存へ
リアリティへの飢え
新たな時代に向けて
著者等紹介
見田宗介[ミタムネスケ]
1937年東京生まれ。社会学者。東京大学名誉教授。真木悠介の筆名での著書もある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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小鈴
8
2010年の講演録。永山則夫と加藤智大の二つの無差別事件を通してリアリティの感じ方の変化というミクロな局面から、ロジスティック曲線から解き明かす社会・経済構造の変曲というマクロな変動まで平易な言葉で鮮やかに解き明かす。不透明でよく分からない時代に生きる者にとって、マクロにおいてもミクロにおいても一つの座標軸となるだろう。講演録のため論文と比べてぐっと読みやすいので多くの人の目に触れてほしい一冊。2012/12/31
けいぎ
2
おし。この本はよんでよかった。『現代社会の理論』とは違うことを言っていた。 ↑と思ったら『社会学入門』の6章でほぼ同じ事言ってるし!(悔)2014/08/07
鯨船
2
現代社会の理論とまなざしの地獄の内容を踏まえて、すこし現代や先のことを語ったちょっとした小冊子。単体でも問題なく読めるし薄くて楽。2014/06/13
らっそ
2
他者とのベタな関係なくして実存はしえない。ベタな関係は面倒くさいけど。2012/10/08
Yoko Kusachi
1
まなざしの地獄から、今度はまなざし不在の苦しさへ。アトム化した個人がいかに社会や他者との関わりを獲得していくのか、その試みと困難、自由さの息苦しさを感じられる。生きるリアリティを得るには(しかも個人の自由を保持したままで)、どうすればいいのだろう。 実感として頷ける点が多く、また読みたい本。2015/06/18