内容説明
17世紀末アメリカのセイレムで起こった魔女裁判事件。その真実に二人の歴史家が迫る古典的名著の全訳(本邦初訳)。普通の社会に住む普通の人たちがある日突然悲劇に襲われないために。
目次
プロローグ 一六九二年に起こったこと
第1章 一六九二年―魔女呪術事件への新しい見方
第2章 共同体を求めて―一六三九‐一六八七年
第3章 魔女呪術に冒された村―一六八八‐一六九七年
第4章 セイレム町とセイレム村―派閥対立の力学
第5章 二つの家族―ポーター一族とパトナム一族
第6章 ジョウゼフと彼の兄弟たち―パトナム一族の物語
第7章 サミュエル・パリス―ベツレヘムの巡礼
第8章 魔女呪術と社会的アイデンティティー
エピローグ 一八世紀に向けて
著者等紹介
山本雅[ヤマモトマサシ]
昭和18年広島県に生まれる。広島大学教授、広島市立大学教授を歴任、広島大学・広島市立大学名誉教授。現在、広島国際大学特任教授。専門はアメリカ文学、特に19世紀アメリカ文学。ハワイ大学(MA)、コロンビア大学、ブラウン大学に留学。ハーヴァード大学客員研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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桐谷 啓治
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一般的なセイレムの魔女狩りに対する、「集団ヒステリーによって悪化して言った」という見方を改めさせられる。セイレムの魔女狩りは運命占い、および奇行から始まったがそれを御するだけの政治組織が村内に内紛によって存在しなかったこと、そしてその時の植民地政府によって介入がなかった事によって拡大していった点。これはノーザンプトンにおいてセイレムと酷似する事象を後の大覚醒運動の先駆けに変換した部分を見るとさらに明確になる。等々、この事件が単純な集団ヒステリーだけではなく、政治的な事象も絡んできているという事実は興味深い2012/10/21