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出版社内容情報
「夜のほうが、昼間よりも色彩が豊かだ」と語るゴッホは、夜を描くことにのめりこんでいた。だが、『ローヌ川の星月夜』『星月夜』『糸杉と星の見える道』などに見える色彩豊かな夜空は、何をモデルとして描いたのか、これまで分かっていなかった。
著者は現地へ足を運び、書簡に目を通し、当時の空を再現して、手がかりをつかみ、謎を追っていく。ゴッホがどのように描きたい夜空を選び、それをいつどこで目にして、どのように絵に落とし込んだのか? 天文学を駆使し、著者はその謎の答えを鮮やかに示してみせる。
「ぼくはいま、星空を描きたくてたまらない。
よく思うのだが、紫や青や濃い緑に彩られた夜のほうが、昼間よりも色彩が豊かだ」
ゴッホの手紙より
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
151
個人的にはどこで観た星空であっても、作品が素晴らしいので関係ないと思いますが、ゴッホ好きの天体物理学者は、どうも違うようです。 https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/product/24/020200011/2024/02/25
アキ
113
オルセー美術館の「ローヌ川の星月夜」は一番の人気作品であった。ニューヨーク近代美術館で見た「星月夜」もゴッホを代表する作品として展示されている。1888年9月にアルルで描かれた「ローヌ川の星月夜」では北斗七星が描かれているが、天文シミュレーションソフトを用いて当時ゴッホが見た夜空を再現すると、テオへの手紙と同じく実際にローヌ川の辺りで描いたことがわかる。しかし街の風景は西向きで星空は南西のものであった。ゴッホは街の光と星空を構成して作品を完成させていた。ゴッホの手紙から推測する天文学者の考察が深い。2024/04/03
榊原 香織
76
中華SF”三体”読んでますますゴッホの星月夜が好きになった。 これは天文学者が、天文ソフトを使って、実際の夜空を描いたのかどうか検証したもの。 発想的にまあ面白いかな2024/07/06
シフォン
30
ゴッホが描いた「星月夜」は、うねるような夜空に星がきらめいている。「星月夜」を中心に「夜のカフェテラス」「「ローヌ川の星月夜」「糸杉と星の見える道」についてゴッホが描いた星々はその場所で見たものを描いたのかということをゴッホの手紙等から描かれた日時を割り出し、実際の景色を確認し、事実と照らし合わせて考察している。ゴッホの視点から見えたように描いたと思っていたがそうではなかったのね。考察過程や解説はおもしろかったが、真実はどうなのだろうか。2024/08/23
かめりあうさぎ
19
初読み作者様。全155ページオールカラーの大型本。天文学者である著者が、ゴッホの絵にある星や月をいつどこで描いたのかという謎を解き明かしていく一冊。ゴッホの手紙、天文ソフト、現地取材を重ね仮説を立証していく過程はまるでミステリを読んでいるかのようでワクワクが止まりませんでした。夜のカフェテラス、星月夜、ローヌ川の星月夜、糸杉と星の見える道など、誰もが知っている名画はどのようにして生まれたのか。かなり説得力のある説だなと感じました。個人的に2024年下半期ベスト5には確実にランクインさせたい作品です。2024/08/21