内容説明
世界の人たちの姿は、こんなにも豊かで多様だった。ナショナルジオグラフィックのアーカイブから1900~30年代の貴重な212点を収録。テーマごとに分類/背景や特徴を理解するための解説/撮影地をガイドマップで表示/日本初公開の写真も多数。
目次
1 日々の暮らしのなかの服装
2 家族の肖像、同郷の絆
3 特別な日の特別なよそおい
4 アッパークラスのよそおい
5 子どもの姿
6 学び舎の若者たち
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
帽子を編みます
56
この題名、そして表紙の写真の少女に見つめられたら読みたくなること間違いなしの本です。表紙の少女の丸い飾りはコインおそらく銀貨です。パラパラとめくりながら気になる一枚を眺めるのもよし。あら、アラン諸島の子どもたち、そうアランセーターは着ていません。かつて読んだ本の内容を思い出します。スリランカ、シンハラ人の少女たち、髪のツヤ、装飾品の数々。どのページを見ても発見があります。この写真の人たち、どのように生きたのだろう、しばし物思いにふけります。2023/04/21
藤月はな(灯れ松明の火)
50
父の借りた本を読ませていただくことになりました。大量生産、大量消費で機能性があり、似たような服を着られるようになった今の時代。そこから遡ること、100年前の衣装を魅せてくれる写真集。一番、ドキッとしたのは中国での写真で女性が杖に縋って歩いている姿。その姿を見て当時の女性は纏足をしていたことを思い出し、失ったもの、失うことで得たものをまざまざと見せつけられた気がしました。過去は蔑ろにしてもいけないが、同時に抱え込みすぎて身動きが取れなくなってもいけないのかもしれない。2015/03/02
たまきら
42
ナショナルジオグラフィックのコレクションの多彩さにまず驚かされました。そして、この1世紀ちょっとでいかに私たちが多様性を失いつつあるのかということも。私たちの世界はどんどん小さくなり、同じアイデア・価値観を共有し始めている。もちろん良いことも多いけれど、私たちが失ったものも多いんだな、とこの美しい写真集を見ながらしんみりしました。同時に人間の喜びや審美眼もあまり変わっていないんだな…とも。 2024/01/29
HMax
35
つい100年ほど前は、こんなにいろんな生活があったんだなと気付かされる。殆どの国ではハレの日しか着なくなった民族衣装。ふと自分のことを考えると、半纏、雪駄ぐらいしか持ってない。興味深いトップ5、①運河で立ち話をしているオランダの漁師。本当に木靴を履いてる。②ワラキア地方の農家の男性。ドラキュラ伯爵のような顔。③纏足をした中国の女性。杖をついて痛々しい。④アルバニアの藁の家々の前での家族写真。寒そうな家。⑤チベット系モソ族の男たち、全員超イケメン。2020/11/21
姉勤
33
祭りや伝統行事以外、代り映えのない服を着ている(ようにみえる)のは、日本だけではないだろう(未開の地は例外)。本書は、約100年前のオーストラリア/北アフリカ以南を除く世界各国の日常服、民族衣装を紹介。モノクロ写真と、それに着色したものと当時珍しいカラー写真。文明の交差点中央アジアやバルカン、文明圏たるイスラム、インド、チャイナ。各地の少数民族。男は雄々しく、着飾った女は美しい。そして愛らしい子供達。時間のコスト化が、世界の民に民族衣装を着る余裕を奪ったのだろう。ロストワールドはグローバルの名の下に。 2015/07/16