出版社内容情報
まうわう。まうわう。ぐぐい、つうし。
本来の言葉はどんなだったか。今となっては思い出せない。
でも、これデいい…
無数の荒縄を纏う襤褸、桐箪笥から這い出る潰れた顔の女、月を呼ぶ筆に魅入られた男、獣面の異形が行き交う夜市…
隻腕の見鬼・千早とオカルト嫌いの堅物公務員・大野木が、正体不明の怪異に立ち向かうバディホラー第4弾!
内容説明
隻腕の見鬼・千早と、オカルト嫌いな堅物県庁生安課・大野木は、骨董屋「夜行堂」店主によって引き合わされ、多発する怪異の解決に挑む。人ではないモノどもが集う場所、決して遠くはない背中合わせの異界で、人の情念や想いが引き起こす数々の呪いと悲劇。その様を静かに眺める、夜行堂店主の真の目的とは…。
著者等紹介
嗣人[ツグヒト]
熊本県荒尾市出身。温泉県にある大学の文学部史学科を卒業。在学中は民俗学研究室に所属。2010年よりWeb上で夜行堂奇譚を執筆中。妻と娘2人と暮らすサラリーマン(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
116
余韻が良い一冊。肆巻も盛りだくさん。やっぱり「序」にふわっと手招きされる感覚がとても好き。そしてそのまま夜行堂店主が待つ世界観へずるずるとはまり込んだ。怪異譚も幻想譚も人間関係の絡まりと共に余韻に浸れる時間が長くなってきた。特に幻想譚は温かさの余韻が好き。彼岸と此岸の境界線のゆらめきを感じる「夜行堂」の存在が際立っていた「古市」と、お祭りの宵闇が魅せる「月葬」が印象的。もちろん千早&大野木バディも癒しがたっぷり。身体を張った大仕事っぷりも惚れ惚れ。巻を追うごとに闇や光、物語の深部に迫りたくなる余韻も良い。2024/03/09
眠る山猫屋
65
現在一推しかな?夜祭の終わり直前のような寂漠とした空気が全編に漂う。文章に少し甘さはあるが引き込まれる物語、残酷な描写と美しく移ろう光景、二転三転する真実。16編の連作なのも読み易い。主要人物の誰かがちょっとだけ登場したり、クロスオーバーしたり。4巻では、過去編の木山に魅せられた。晩年の彼はどうしようもなく邪悪だが、堕ちていく若かりし頃の木山の反骨と揺れ動く孤独感には、微かな救済の可能性も見えていて辛い。また木山の妹弟子にあたる柊の仙女のようなチートさは昇華されていて、彼女の登場回はとんでもなく美しい。2024/04/03
yukaring
65
楽しみにしていた第4弾。今回も怪異が多めでオカルト色が強い印象。呪いに飲み込まれるブラック企業のオフィス、天井から下がる首吊りの輪がぶらぶらと揺れるさまが怖い。桐箪笥から這い出る潰れた顔の女、木山老人に関わった人の悲惨な末路、様々な怪異が淡々と綴られる。千早くんと大野木さんの元にも物騒な依頼が次々と舞い込むが2人のバディぶりももはや手慣れたもの、ソツなく事件を解決していく。幽霊に取り憑かれ頭を抱える大野木さんの話が気の毒だけど面白かった。そして今回は帯刀老や柊さん、夜行堂主人のエピソードが多いのが嬉しい。2024/02/14
aki☆
55
シリーズ第4弾。今回も16編、変わらぬボリュームが嬉しい。怪しく恐ろしく、切なくて稀に温かい、この世界観に惹き込まれ浸れる喜び。いつもの面々にまた会えた喜び。千早&大野木コンビ、夜行堂店主、木山に帯刀、楸、登場する人物によって全く違う趣で読ませてくれる。どれもゾワッ、その原因は怪異なのか悪意なのか。また一人邪悪な存在が増えてるし汗。謎は相変わらず。けど今は「知りたい」のままこの世界観に少しでも長く浸っていたいな。2024/03/28
ポチ
47
恐怖、悲しみ、狂気、しんみり、などの味わいのある短編が16話。次は長編を読みたい。2024/02/11