内容説明
美術部員の楓と春樹は「骨董屋・眼球堂」で、絹や金銀の糸で織り上げられた1枚のタペストリーを見つけた。それはかつて、春樹が模写したエディス・グレイの絵、そのものだった…。妖精の眼を持つといわれた幻の画家、エディス・グレイ。タペストリーを見つめるうちに、失われていた春樹の記憶が呼び起こされ始め…。
著者等紹介
小林栗奈[コバヤシクリナ]
1971年生まれ。表の顔は地味で真面目な会社員だが、本性は風来坊。欲しいものは体力。2015年、第25回「ゆきのまち幻想文学賞」長編賞受賞。2016年『利き蜜師』で第三回「暮らしの小説大賞」出版社特別賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うまる
39
眼球堂の続編。前作に出てきた美術部員とその幼馴染目線の話から、前作ラストの火事の真相がわかる展開が良くできています。作中作のレベルも上がっていて面白かったです。眼球に纏わる色んな話が読めて満足感があり、幻想的な世界にどっぷり浸れました。眼球堂の2人の出会いや雪眠り姫の話など本筋と関係のある作中作もあり、2人の周りが少しずつ動き出した感じで、続きがとても気になります。本編関連以外では神の瞳と眼球型ドローンの話が好みでした。2021/04/13
パット長月
8
シリーズ第二弾。前作の記憶がすでに曖昧だが、こんな垢ぬけた、奥行きのあるファンタジーだったろうか。リラはともかく、てっきり日本人かと思っていた店主が、ロンドン生まれの英国人だったとは意外だった。店は転居したのかと思ったら、焼けたらしいがもとの所にあるらしい。リラの過去につながるカードにまつわるサーシャの話もなかなか魅力的だったし、リラの正体はわかったが、この物語のしかけにはまだまだ謎が多い。図書館の新着棚でたまたま手に取った利き蜜師以来読み続け、着実にうまくなっているのがわかる作家さん。次作にも期待。2021/04/04
まさ公
4
前作のことがうろ覚えで、火事?リラの過去が語られて、不穏さを増しながら、店主とのラブストーリーみたいになっていた。2021/04/21
まんま
4
前巻を読んだのが大分前だったので、でてくる名前に「?」となってしまった。リラと店主の関係性は好き。眼球にまつわる物語は、誰が紡いでいるのだろう。2021/01/20
century-century
3
作中の様々な物語が、続きを想像する余韻を持たせるように、含みを持たせた終わり方なのが良い。リラと店主のラストシーンも然り。こういう幻想的な雰囲気の作品、好きだなあ。2021/11/21