内容説明
23歳、何者でもない一人の若者が詩人に出会った―そこから始まる30年にわたる旅の記憶。写真家・小林紀晴の原点となる旅がここにある。
目次
1 二三歳 東京発、マレー行
2 二六歳 上海
3 三〇歳 バトパハ
4 洗面器のなかの
5 三二歳 ニューヨーク、パリ
6 南方詩集
7 五〇歳 再びのアジア
著者等紹介
小林紀晴[コバヤシキセイ]
1968年長野県生まれ。写真家・作家。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業後、新聞社カメラマンを経て1991年に独立。1995年、アジアを旅する日本人の若者たちの姿を写真と文章で描いた『ASIAN JAPANESE』でデビュー。1997年『DAYS ASIA』で日本写真協会新人賞。2013年、写真展「遠くから来た舟」で林忠彦賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紫羊
17
写真家による金子光晴の旅の追想。マレー、上海、バトパハ、パリと、金子光晴の作品に記された彼の痕跡を探す旅は、時代を経ているにもかかわらず妙に生々しい。何十年も前に読んで内容をきれいに忘れてしまっている「マレー蘭印紀行」を再読したくなった。2025/04/20
アヴォカド
15
沢木『深夜特急』で少なくないワカモノがバックパッカーとなってアジアを目指し、その源流を遡るようにして金子光晴『マレー蘭印紀行』をも手にする、という時期があった。どうやらその1人だったらしい小林の旅と、金子光晴の詩や『マレー蘭印紀行』の世界とが重なり合い、響き合う。金子の詩もマレー蘭印も、私は好きで何度か読んでいるのだけれど、バブルと名付けられた時代に、アジアへ向かったワカモノたちは、沢木や金子に何を読み取っていたのだろうか、とばかり考えてこれを読んだ。2020/02/03
チェアー
13
あてどのない旅に出た金子光晴。その足跡に魅せられた写真家。あてどがなければ帰るという行為も発生しない。行く先がホームになり、次に行くところが新たなホームになる。それは自由とはまた違う感覚だろう。土地というものにより密着しつつ離れてもいて、自分は何なんだろうと思い続けるはずだ。そういう旅は、実は人生の縮図なのではないか。金子光晴を読みたくなる。2020/01/03
Tenouji
12
金子光晴氏のことを初めて知った。ちょっと読んでみようかと思う。2019/12/17
ほじゅどー
9
★★★★写真家小林紀晴の本を読み進めていて偶然この本に辿り着いた。入社3年で新聞社を辞め、アジアの国々を放浪した23歳の小林紀晴。26歳で金子光晴が滞在した上海へ。30歳で東南アジアの国々、そして金子が愛した寂しい街バトパハへ。32歳でニューヨーク、パリへ。そして50歳になり再びアジアへ。沢木耕太郎の「深夜特急」は読んだが金子光晴の「マレー蘭印紀行」はまだ読んでいない。2020/10/24