出版社内容情報
◎仏像は見るものではなく、出会うもの
2014年まで奈良国立博物館の学芸部長として、現在は仏教美術の名品を所蔵する半蔵門ミュージアムの館長として、多くの仏像・神像の展示に関わってきた著者。仏教美術史の専門家として、生きた言葉で仏像の魅力を語り続けています。
本書は、著者がこれまでに出会ったたくさんの仏像の中から、特に心に深く刻まれた53体を選び、その美しさを見事に切り取った仏像写真と共に紹介する仏像ガイドです。
仏像にはそれぞれ、作った人、守り伝えてきた人の願いが込められています。仏像一つ一つに込められた願いや、背景にある歴史物語を知ることで、仏像との本当の出会いが訪れることでしょう。また、仏像に魅せられた写真家たちの仏像愛あふれる写真でその素晴らしさを知ることができるのも、本書の魅力です。
<本書で紹介する仏像の例>
【薬師寺 薬師如来】奈良時代から病気平癒の願いを聞き届けてきた、白鳳美術の最高峰
【興福寺 阿修羅】子を亡くした光明皇后が作らせた、少年のような表情の八部衆
【東大寺 盧舎那仏】聖武天皇が民の力を集めて建立した大仏
【円成寺 大日如来】スーパーリアルに打ち込んだ、あの運慶のデビュー作
【秋篠寺 伎芸天】菩薩にも見まごう「東洋のミューズ」
【聖林寺 十一面観音】フェノロサ、白洲正子、和辻哲郎…あまたの美術史家や作家を虜にした優しい仏像
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Nat
35
8月に奈良旅行を計画しているので、どうせなら仏像の予習をしようと手に取った。やはり奈良なら定番法隆寺、興福寺、薬師寺、東大寺は外せないなと再認識。また、奈良ではないが、浄瑠璃寺の九体阿弥陀は現存している唯一のものとのこと。是非見てみたいなと思ったが、京都の外れで行きにくそうな場所。(奈良駅からバスで行くらしい。)また今は順番に仏像を補修中なので九体揃うのは来年末以降らしとのこと。いつかのんびり日程で行きたいな。唐招提寺の千手観音立像も手がすごい!手の写真に圧倒された。2022/05/15
アリーマ
17
写真がとても美しくて、目の保養ができる一冊。奈良から平安、鎌倉時代と時代別に著者の愛する仏像が解説されていく。仏像のあれこれを知識としてまとめた本をいくら見ても、どうもしっくりこなかったのだが、やはり「好き」がベースだとわかりやすい。如来と菩薩の説明など、腑に落ちる解説がいろいろ。初心者向けの仏像鑑賞ガイドとして、なかなかよいと思う。これを持って奈良にまた行きたい。★★★★2021/05/03
チョビ
8
興福寺の仏像がかわいい!写真に拘った= 仏像のいいところを見せたい、という筆者の心意気が気に入りました。…いつ行けるんだろうなあ…。 まあ、「くるみの木」は行きたいもんな(高松のお店は制覇済み)。また、オリックスの試合のときに泊まりがけだな、奈良!2021/10/02
風が造る景色
5
写真がとてもいい、仏像の説明文がいい。分かり易い所に像の高さがあるのがいい。4mを超す丈六の仏像も、30センチほどの小仏像も、写真だけだとその迫力をイメージすることは難しいから。 それから、仏像は美術館で見る方がずっといいと、最近は密かに思っています。それくらい最近の展示は見易くていい。180度どの角度からも見られる。お寺の中では暗くて見えないものが見られる。昨年のトーハクの聖林寺十一面観音立像、法隆寺釈迦三尊像は最高の感動でした。この本に掲載された仏像も東京に来たら必ず会いに行きます。2022/01/04
kaz
3
飛鳥・白鳳時代、奈良時代、平安時代、鎌倉時代が大半で、他は江戸時代の地蔵菩薩坐像が1体。著者によれば「すぐれた仏像を造ることができたのは鎌倉時代まで、と仏像の研究者の多くは考えているはずだ」とのことだが、著者は必ずしも鎌倉時代より後の仏像を否定的に見ているわけではない。同じ仏像でも写真を撮る角度によって全然違って見えるのは当然だが、ここまでかというものもいくつか。エピソードは気になったものだけ読んだが、これもなかなか面白い。2021/06/20