内容説明
「怨霊と御霊」「殺戮と鎮魂」「葬地と聖地」…1200年もの歴史を有する京都には「裏の貌」と呼べるべき痕跡が至る所にあり、「現世」と「異界」のつながりを感じやすい。見落とされがちで、忘れ去られがちな「異界」。その記憶を深く濃くとどめる古社寺を探訪する。
目次
序章 京都のほんとうの魅力―平安京の暗闇を見つめる(あこがれの「古都」;平安時代の建物は残っていない ほか)
第1章 敗者の怨念を鎮める神社(史上最強の怨霊を鎮める 白峯神宮;敗者の霊を鎮め疫病を祓う 御霊神社 ほか)
第2章 異界との境界だった神社・古寺(冥界への通路が潜む 六道珍皇寺;平安京の北に広がるあの世との境界 蓮台野と千本閻魔堂 ほか)
第3章 京都に生きた人びとの墳墓としての神社・古寺(漂流を続けた親鸞の墓 本願寺;二つの怨霊を封じ込めた 明智光秀の首塚 ほか)
第4章 古都の魔界への入口としての神社・古寺(魔境と化した平安京の正門 羅城門;鬼の首を埋めて化外の民を退ける 首塚大明神 ほか)
著者等紹介
新谷尚紀[シンタニタカノリ]
1948年広島県生まれ。早稲田大学第一文学部史学科卒業。同大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程単位取得。社会学博士(慶應義塾大学)。現在、国立歴史民俗博物館名誉教授、國學院大學大学院客員教授。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
58
京都の社寺を巡った一冊。京都のオカルト的な側面に触れた本は数多いが、本書は北野天満宮や六道珍皇寺、一定戻り橋といった有名どころ以外にも、京都神田明神、明智光秀の首塚といった極めてマイナーな社寺まで紹介されているのは好感が持てる。敗者の鎮魂の社寺や境界、死者を弔う寺や魔界への入り口とそれぞれ章立てられてはいるものの、それぞれの歴史は密接に絡み合っている部分に京都の歴史の奥深さを感じられるように思える。この手の本ではあまり触れられない本願寺や平等院があるのも嬉しいかな。京都本は手に取る度に行きたくなるのです。2023/11/22
うー(今年も遅くなります)
20
神社仏閣は様々な謂れがあることはぼんやり知っているつもりだったが、これはなかなか(^^;昔は謀反の疑いで処断、のちに冤罪だったことがとても多かったこと、そんな非業の死を遂げた怨霊を慰撫しようとしたこと、そんな謂れを読みつつ実際に古社寺を巡ると、、、、怖いか(^^;2020/11/29
なつき
8
京都に初めて行ったときにまず最初に行ったのは晴明神社と六道珍皇寺でした。中学から迦楼羅舞うにはまって、京都奈良の寺社に色々言っていたので、この本で紹介されているところも半分くらいは行ったことがありました。コロナが落ち着いたらまた京都もゆっくり巡りたいものです。2020/11/04
いちじく
3
タイトル買い。京都で異界といえば六道珍皇寺や一条戻橋だと思っていたけど、葬送の地や極楽浄土を模した平等院も異界と接している地なんだよなー。そうして思うと本当に京都はどこもかしこも興味深い。まだ行ったことのない場所もちらほらあったので、落ち着いたら訪ねてみたい。特に将軍塚は青蓮院へ行ってもなかなかその先足を伸ばせないので次回は目的地として行ってみようと思った。2021/08/12
喜木海弐
2
怖い話かと思えば京都市歴史本だった。 なぜ宇治や宮津は載っていないのか、いや、徹底的に載せまいとしているのか疑問に思ったが思うに市内と外という境界にフォーカスをするためなのではないだろうか、京都はかつては洛内と洛外では大きく扱いが異なり、洛外には鬼が居るという考えがあったほどで今も内と外の境界には鬼の伝説が残っている。この本でも首塚大明神や貴船神社などの鬼の話題に触れている。2023/09/05