内容説明
関東軍参謀・石原莞爾との出会い、日中戦争の拡大を阻止せんと、東条内閣の打倒に奮迅する。戦後は71歳で国鉄総裁に就任し、広軌新幹線建設の夢に賭ける。一代の風雲児、激動の後半生―。「新幹線の父」十河信二の生涯、挑戦篇!
目次
第10章 満州事変と満鉄の対応
第11章 満鉄経済調査会と「満州国」
第12章 華北開発の夢「興中公司」
第13章 “満州派”の国家改造計画
第14章 戦争拡大と満州派の敗北
第15章 隠忍自重の時代
第16章 「線路を枕に討死」の覚悟
第17章 「広軌新幹線」への挑戦
終章 老兵の消えて跡なき夏野かな
著者等紹介
牧久[マキヒサシ]
ジャーナリスト。1941年、大分県生れ。64年、早稲田大学第一政治経済学部政治学科卒業。同年、日本経済新聞社に入社。東京本社編集局社会部に配属。サイゴン・シンガポール特派員。名古屋支社報道部次長、東京本社社会部次長を経て、89年、東京・社会部長。その後、取締役総務局長、常務労務・総務・製作担当。専務取締役、代表取締役副社長を経て2005年、テレビ大阪会長。現在、日本経済新聞社客員、日本交通協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Tadasu Nunotani
2
「坂の上の雲」の秋山兄弟といい、どうして愛媛ばかりこんな優秀な人が出たのだろうかと思う。地元に恩返しをした愛媛県人だった外祖父を改めて思い返しました。2014/04/21
筋書屋虫六
1
「イデアリストにしてリアリスト」と著者は書いていますが、肚芸の深い大きな役者だったのだなぁ、十河信二という人物は。新幹線開発の秘話に興味を持って読み始めたのですが、後編の大部分は満鉄や浪人時代の話、人生の終盤に国鉄総裁を引き受ける際の密約として、「広軌新幹線」の建設を取り付け、政治家に潰されないように策謀と大芝居でコマをすすめる様は、まるで「忠臣蔵」!後藤新平や千石貢など明治以来の広軌派の仇を討ち取った體に読めてドキドキしました。開業式に招待されなかった十河の肚にあった思いが伝わってきました。2014/10/31
Naoya Tomihisa
1
☆☆☆十河信二下巻。さぁ新幹線の話と思っていたら、読めども読めども、満州のお話なんですよ。結局、全17章中新幹線(戦後)の話は2章だけ。伝わってくるのは、新幹線は戦後を象徴する技術の結晶なのではなく、後藤新平・仙石貢・島安次郎ら広軌派先達の明治以来100年の夢と執念の結実であるということ。新幹線の歴史は深いです。2014/07/12
渓流
1
一番気になるのは、天下の国鉄の総裁の終の棲家が、2DKのアパートということ。明治人の気概か。2014/03/02
大きいこぐま
0
上巻に引き続き、まさに近代史ともいえる内容。新幹線に対する執念。「ミスター新幹線」と呼ぶべき人物。 後、個人的には「岐阜羽島駅の大野伴睦のいきさつ」の真相は、巷間つたえるところとは違っていたのは意外だった。2014/02/18